アンチエイジング (ブログ記事から)

アンチエイジングとは
アンチエイジングという言葉があります。
美容外科的な若返り治療をするという意味合いで通常用いられています。最近では美容内科的な意味合いでデトックスやホルモン補充療法などを指して、用いられています。美夏クリニックでは、美夏DR.は勿論美容外科的な若返り治療もしておりますが、本来のアンチエイジングについては、それとは別の理念があります。

不老不死は秦の始皇帝の望みでかなえられなかったものです。現代でも不死はかなえられない。不死という言葉を使うならば、それは遺伝子が脈々と子々孫々に伝えられてゆく事そのものが不死かもしれません。でもその遺伝子も、そのまま伝えられてゆくわけではなくて、子供には1/2、孫には1/4ずつ、しかもウイルスやらそれまでの病歴やら種々の要素で少しずつ変化していきます。進化といっても良いのかもしれませんね。


美夏クリニックの”美と健康はオーケストラのハーモニー”という理念は、みんなが自分たちのもっている恒常性を大事に、自分のなかにあるリズムや音色を、あるがままに美しく奏でるか、そのお手伝いが出来たらと話し合って決めた理念です。

東洋医学では、鍼や漢方薬を使って可能であれば未病のうちに、ハーモニーの乱れに気づいて、本来の姿にもどすように努力しています。筑田先生におかかりの患者さまたちが、初診のときには暗い下向きのお顔だったのが、だんだん頬に赤みがさし、眼の輝きを取り戻し、お声に力が出てくるのを、拝見すると、本当にうれしくなります。

個体のアンチエイジングが、本当の意味でのアンチエイジングになるには、まだ遠い道のりがありそうです。その中で、一人一人が生きてゆく時間を出来るだけ健康に若々しく、楽しく生きてゆければ良いなあと思っています

アンチエイジングの治療の深さ(ターゲット)について
昨日アンチエイジングと書き始めて、つい日ごろ感じていることを書いてしまった。
でもそれはポリシーの話で具体的ではなかったですね。本日は、もう少し自分の専門分野での具体的な治療方法について、4回シリーズくらいで書きます。(そういえば、完結していない話題が一杯残っています。金属アレルギーやら痒いやらピアスやらーーー。これも中断したり続けたりになりそうですが。まあ話題は一杯ありすぎてエンドレスですものね)

形成外科美容外科のアンチエイジングと言った場合、まずターゲットを絞る必要があります。
ご自分の気になる部分と受けている治療が、深さでずれていれば満足する結果は得られません
やや極端ですが、話が分かりやすいように分類します。

1、浅い層のアンチエイジング
これは皮膚の構造から言えば、表皮と真皮浅層に対する治療をします。気になる症状は、大きく分けてしみ(色の問題)と毛穴こじわ(形の問題)です。治療の方法としては、美容皮膚科的な治療ースキンケアをします。

2、中くらいの深さのアンチエイジング
これは、真皮がターゲットの治療をします。普通の皺、ほうれいせんや眉間のしわ、縦長の毛穴など。軽い緩みもここに入ります。治療手段としては、filler(コラーゲン、ヒアルロン酸などの注射でくぼみを持ち上げる)とボトックス(しわを寄せる筋肉の動きを止める)がメインです。
最近リフトアップ用の器械を用いるマシン系の治療もこの2番目に入るでしょう。真皮にいかに熱を入れるかがポイントですからね。つまりサーマクール、タイタン、ポラリス、リラックスFなど

3、深い部分のアンチエイジング
皮膚と骨格の間の位置関係がずれてしまった場合の治療。たるみ緩みが気になる場合です。結局フェイスリフトや瞼の形成など手術になります。

美容をやっている形成外科医の集まりで話題になる中に、はっきりした結果が出る治療、患者さまが喜ぶ治療という分類があります。
上記の中で、1のしみの治療、2の注射による治療、3の手術による治療というのは、術前後で結果がはっきり出る治療です。反対に毛穴に対する治療やマシン系のリフトアップの治療は評価が難しい治療です。その評価方法についても、いずれ書きますね。


浅い層のアンチエイジング しみと毛穴や小皺
アンチエイジング治療のなかで、皮膚の表皮から真皮の浅い部分の治療があります。実際の治療目標は、しみと毛穴、小じわの改善です。治療はスキンケアをすることになります。

個々の治療については、また別の機会にお話しします。今回は、一般的な話です。オバジというロサンゼルスの皮膚科の先生が作ったnu-dermというトレチノインとハイドロキノンの治療プログラム(クリームプログラム)があります。この治療をすると、皮膚のしみや毛穴、小じわなどは見違えるほど良くなります。種々の治療方法の中で、改善度はきわめて高い。
でも、すっかりきれいになったと思っていても、メインテナンスをしなければ、3年で元に戻ります。どんなアンチエイジングの治療をしても、そのときから年齢を重ねるのだと言えば、やむを得ないことです。でも戻っちゃうと悲しいですよね。良い結果を保つためには、日々のケアやメインテナンスの治療が必要になります。

しみの治療は、結果がはっきりする治療です。結局気になるしみが残っているか取れたかですから。写真にもはっきり写る。

しみに比べると、
毛穴や小じわの治療は評価が難しい。ロボスキンアナライザーなどを使って評価する方法が少しずつ広まってきています。なぜこのような高額な機械が必要なのか。結局、写真などでの評価が難しいから。
毛穴が小さくなったと言います。例えば、毛穴の体積が平均して50%縮小したとします。これは、長さに置き換えると、20%の縮小です。(80%になったと言うこと) 0.8x0.8x0.8でおよそ0.5ですよね。
確かに毛穴は縮小したと思います。でもこれをふつうの写真の上での変化ととらえるのは結構難しい。小じわについても同じです。
保湿のされ具合や表情で写真では全く異なる

この辺が、
毛穴やこじわの治療で、それなりの結果が出ていても、患者さんによって満足度が異なる理由です。

美容系の集まりに行きますと、「
夏みかんのお肌は、みかんにできる。でも、みかんをたまごのような肌にするのは難しい」という言葉をよく聞きます。

治療をお受けになる前に、よく説明を聞いて、納得してから治療を受けて下さいね。正直なところ、医師や看護師であっても患者さまが本当に理解して下さっているのかどうか、不安になります。また、言葉の理解と思い描いておいでの結果と異なる場合があります。
治療には、もちろんリスクはありますし、患者さんによっても結果は異なります。どこの医療機関でも、丁寧に説明することをモットーに治療していると思います。よく納得した上で、治療を始めて下さいね。

本日のまとめ
''''日々のスキンケアやメインテナンスの治療が必要です
しみの治療のように結果がはっきり分かるものと、毛穴や小じわのように評価がしにくい治療があります
治療の前に、わかりにくい部分はよく説明を聞いて下さいね''''

アンチエイジングは早い時期から
一昨日昨日と美容外科学会でした。
美容外科学会は10年位前にはあまり活発だった印象がないのですが、最近は参加者の数も500人を超したと言っておられたかしら、真剣な討議がすすんで、大変盛況で熱気にあふれていました。

美容外科学会で必ずシンポジウムのテーマになるのが、
フェイスリフト。美容外科医はフェイスリフトでよい結果を出すために、日々精進しているのかもしれません。

このところ北里の美容医療研究所の宇津木先生を頭にして、美容医療の新しい基準が作られつつあるように思います。

そのひとつが、
アンチエイジング治療はなるべく早い時期からというのがあります。
これは一体何を根拠にしているのか?

お顔の深い部分と皮膚をつなぐ線維組織があります。この線維組織はretaining ligamentといいます。骨格と皮膚を皮膚に対して垂直に走っている線維組織です。
例えてお話しするならば、ヨットで帆をマストに結び付けているロープがこのretaining ligamentです。皮膚が重力で下方に引っ張られてくると、この線維組織が当然引き伸ばされてきます。ロープが緩むと帆が広がってはためき始める訳です。
年齢が高くなって例えフェイスリフトで皮膚とその下の薄い筋膜組織SMASで引き上げを図っても、重力の力は術後もかかっておりますので、どうしても緩みがでてくるまでの時間が早い。
ロープが緩んで長くなる前にしっかり結びなおしておきましょうと言うのが、早い時期からフェイスリフトの手術はしておいたほうがよいという根拠だと思います。

手術はどんどん拡大して大きくなってゆく流れと、ミニマムでなるべく大きな効果を出そうとする流れとがあります。手術の術式というのはこの二つの流れの中を歴史的には行ったり来たりしています。
ここしばらく海外の学会には参加できておりませんが、4年前だったかフロリダでBakerGordonシンポジウムというのに、参加した時に同じ流れを感じました。retaining regamentの概念を提唱されたDr.Stuzinは前者で広範剥離しっかり再建の手術をされていましたし、Dr.Bakerだったか(フロリダの方ではない)lateral smasectomyというミニマム手術でよい結果を出されていました。(場所を取る書籍類を涙をのんで処分してしまって、確認できません。もしかしたら正しいお名前ではないかもしれません)
自分が手術をうけるならば、きっと選ぶのはミニマム手術かなあ。その場にならないと分かりません。

フェイスリフトでは、年齢が高くなり緩みが顕著になり線維組織(皮膚を支える前述のretaining ligament)が緩むと、その緩みを改善するまで手術では剥離し、線維組織を再建しなければならない。
宇津木先生の所ではそのSMASの下の線維組織を結び変えてやり、上へ引き上げてやるという手術をなさっています。
8時間超かけて手術をなさるそうです。朝手術室にはいると、患者さんが出てこられるのはもう夜ですね。とても診療所で安全に手術できる時間ではありません。


だからこそ、「早め早めにリフトしなさい」 「早いうちからケアをしなさい」ということになるのでしょう。早い時期であれば小さい手術ですみ、ロープが伸びきっていなければ良い結果もまた、持続しますものね。

宇津木先生の「40台になったら、フェイスリフトをしなさい」というご発言が心に残ったフェイスリフトのセッションでした。

お洋服をかけるハンガーがありますよね。人の顔ではハンガーは額からこめかみ部分。このハンガーの本体をきっちり早めに作り直しておくことが、美しさを保つためには大事だそうです。
個人的に少々宇津木先生とお話していましたら、是非早々に額のフェイスリフト(前額リフト)をするように、勧められました。

うーん、気になるところ一杯あるけれど、きりがないなあ、時間がないなあなどと思いながら、帰宅いたしました。

しばらく、美容外科学会のお話を続けます。


アンチエイジングを負担なくゆっくりと
この美容外科学会で感じたことのひとつに、患者さまのニーズが、比較的短期間にはっきり改善が見える治療と日々の生活の中で負担なく少しずつ改善するタイプの治療に分けられているという事があります。

例えば、美夏クリニック でもさせていただいている治療のひとつに、ヤグレーザーによるレーザーピーリングがあります。北里大学の先生によるご発表では、母集団30人のうち、平均4年2月の間に平均26.5回このレーザーピーリングをなさった結果、20人の方で非常に効果があり、6人の方で効果あり、不変が一人だったそうです。
治療回数の多い方を選択した上で、結果がどうであったかという御発表でした。でも、この施設でのもともとの治療回数も平均12.77回とかなりの数です。

レーザーピーリングは、一回一回の効果がそんなに眼に見えるものではありません。多少の赤みは出ることがありますが、いわゆるローリスク、ローリターンの治療です。それを回数を重ね時を経れば、その時が経つ前よりも皮膚の状態が良くなる。
日々の生活の中で負担なく少しずつ改善するタイプの治療は、はっきりと結果が見えるタイプの治療ではありません。それでも患者さんに喜んでいただける治療であり、それなりに価値のある治療なんだと認識しました。