●しみ治療の選び方 |
しみは種類や治療方法が様々です。
治療方法の選び方が分かりにくいかと思い、表皮にあるメラニンによるしみについて、少し書いてみました。すべてを網羅しているわけではありませんが、ご参考までによければお読みください。患者さま用にお作りしたパンフレットを一部改変し、アップさせていただきます。
肝斑や炎症後色素沈着については、原則的にトレチノイン+ハイドロキノンを塗る治療がお勧めです。場合によって、フォトセラピー(光治療)を施行します。
Qレーザー照射
しみの部分に照射するもので、確実性が高いのですがその部分のみの治療です。照射後10日間テープ(ハイドロコロイドの創傷被覆剤)を貼らなくてはなりません。照射してしみが取れた後しばらくしてから、炎症後色素沈着(レーザー焼け)といって、色が黒ずむことがあります。炎症後色素沈着は6か月から1年で消失します。
トレチノイン+ハイドロキノンの二つの薬を塗る治療 赤くなり乾燥してむけるという時期があります。 複数のしみや顔の広い面積にぱらぱらあるしみに向いています。毛穴がしまり、皮膚のはり感も得られます。
Obagiのクリームプログラム フルフェイスでトレチノインとハイドロキノンを毎日家で塗るというプログラムです。1クール6週で3クールが基本(4か月半)です。顔全体が赤くなり、口の周りが剥けて乾燥するという辛い時期があります。 トレチノイン量が多いので、大変な分、結果は一番良く個人差が少ないプログラムです。
トレチノイン療法(東大吉村先生による)(費用の目安 1クール4-15万くらい)
しみの部分のみに2種類の薬を塗るプログラムです。1クール8-12週、場合によって2クールします。頬にしみがある人が多いため、Obagiに比べると皮膚の剥けが少なくメイクで隠しやすいのがメリットです。紫外線を浴びると肝斑は返って悪くなることがあります。結果に個人差が大きい。とても結果のよい方とあまり効果が見られない方がいます。
フォトセラピー(光治療) 使用機械はメディラックス ルミナスワン(導入予定)です。 原則3週毎に5回を目安に照射します。 光治療は顔全体に照射する治療方法で、お顔全体の茶や赤の色を薄くし、全体の色を整えます。 メディラックスは肝斑の方に、強力に照射することは出来ません。 ルミナスワンは、出力波長パルス幅など自由に設定が出来、いわばプロ仕様の機械です。設定により、どのような患者さまにも照射可能です。
光治療はテープを貼る必要がなく、炎症後色素沈着もミニマムで済み、社会生活への影響があまりありません。取れないしみや薄くなっただけのしみが残ることがあり、繰り返しの治療が必要になることがあります。
ひとつだけ目立つしみのある方は、レーザー治療がお勧めです。
皮膚の性質は千差万別です。日々のスキンケアの方法や紫外線を浴びる量も人によりかなり違いがあります。炎症後色素沈着が強く出る人、トレチノインが効きやすい人や効きにくい人、テープや治療中の赤み乾燥が辛い人平気な人、皆さまの条件は様々です。患者さまのご希望やしみの種類、治療の進み具合で治療方法を選択し、変更してゆきます。ご希望や心配な点は、医師やスタッフにお気軽にご相談ください。
また、しみ治療はメラノサイトを破壊する治療をしているわけではありませんので、再発しやすいものです。治療中は勿論治療後も、皮膚は紫外線にあたらないよう、こすらないよう注意なさってくださいませ。
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●美夏クリニックのしみ治療最前 |
乳酸面倒くさがり屋ナースが「美夏クリニックのしみ治療最前」というファイルを、クリニック内のパンフレット用に作ってくれました。拝見いたしましたら、これがまたよく出来ている。本人の許可を得ましたので、このブログにも載せますね。
〜美夏クリニックのしみ治療最前線〜
日々の大きな変化は望まないローリスク・ローリターン派?
それとも、気合の入ったハイリスク・ハイリターン派?
@どのような治療法がありますか?
あなたのしみはどのような種類なのでしょうか?
それによって治療法が異なりますので、まずは洗顔していただき、診断に必要な写真を各種撮らせていただき、Drによってしみの種類を診断します。
A費用はどのくらいかかりますか?
しみの種類や範囲、治療法によって異なりますので、ぜひご相談ください。
<ご来院してからの流れ>
洗顔→各種写真撮影→Drによるしみの種類診断→
各種治療法の説明・ご相談・必要時スキンケア指導→治療→身支度してお帰りいただく。
<しみを作っている原因は?それに伴う予防法をお教えします>
あなたの行動パターンやスキンケア情報をお伺いし、
しみができる原因や、しみの予防方法をみつけます。
例えば・・・
・日焼け止めはまめに使っていますか?2〜3時間おきに塗り足します。汗と皮脂で落ちてしまいます。
・犬の散歩によくいかれますか?ちょっとの時間だけだから日焼け止めは塗らなくてもいいか。ということはされていませんか?毎日の積み重ねですから。
・活動は主に室内?屋外ですか?日当たりのよいところで生活なさっていますか?室内だからといって、あなどってはならないです。
・洗顔はどのような方法でされていますか?こすったらしみが取れるかも?なんてゴシゴシやっていませんか?タオルも乱暴にこするようにして拭いていませんか?いずれもしみを悪化させてしまいます。
<治療>
ハイリスクハイリターンもの
(レーザー照射・トレチノイン療法・オバジクリームプログラムなど)
ある期間、治療部位が赤くなったり、皮が剥けたりするので、薬剤コントロールが必要。
レーザー照射ではテープを1週間貼り続けなければならない。けれども、効果は「期待大」である。なお、紫外線が強い時期はよりハイリスクになるため、行わない。
ローリスクローリターンもの(化粧品・ハイドロキノン・イオン導入など)
治療効果が出るにはかなり時間がかかる。けれどもダウンタイムがないので、いつのシーズンでも気軽に行いやすい。
裏面に、しみの種類と治療法の組み合わせの表がのせてあります。(すみません、こちらは上手くアップできないので、そのうちにHPの方に載せます) しみの種類がわかる方はぜひ参考にしてください。
美夏クリニック
いやあ、私のブログはブロックブログと言ってどうやらプロユースらしくって(?)、jugemさんのように、きれいな色を簡単に使うとか、スキンの選択肢が少ない。面倒くさがり屋ナースのカラフルな色使いが再現できなくて残念です。 単にやり方がわかっていないだけって言われればその通りです。 それにしても、面倒くさがり屋ナースのブログはいつもながら面白い。
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●レーザー治療による炎症後色素沈着 |
季節柄なのか、このブログやHP、パンフレットのためなのか、しみ治療の患者さまの数が増えてきています。
しみ治療のポイントは炎症後色素沈着の時期をいかにして乗り越えるかです。
レーザー治療では、照射した後痂皮(かさぶた)がとれてそのまましみのない肌になる場合もあります。しかし、統計学的にはおよそ半分の方ではその後一端黒ずむ時期があります。炎症後色素沈着とかレーザー焼けと言います。炎症後色素沈着が来ても、通常半年から1年経てば、しみのない肌になるはずです。
この炎症後色素沈着の時期に、そのレーザー照射部位に紫外線があたってしまったり、気にしてこすってしまったりすると、この黒ずみが取れないことがあります。
この炎症後色素沈着の時期は、先ほど申しましたように、紫外線を避けること、こすらないこと(摩擦の力を加えないこと)が重要です。
炎症後色素沈着もかなり真っ黒になる場合もあれば、わずかに周囲と色の差が出る場合などさまざまです。その炎症後色素沈着の期間を短くし、黒ずみの程度軽くするために、ハイドロキノンという漂白剤を塗布する、ビタミンのイオン導入をする、トレチノイン療法をするなどの治療をする場合があります。どちらかと言うと患者さんのご希望でなさっているクリニックが多いと思います。
これからの季節(秋から冬)は、同じようなスキンケアをしていても、紫外線量が少ない、日照時間が短い、日焼けどめが汗などで流れにくい分だけ、炎症後色素沈着の期間に悪化する要因を減らすことが出来ます。
しみの治療は、トレチノインとハイドロキノンを塗る治療をなさるにしても、レーザーの照射をするにしても、半年から1年がかりです。しみの治療をなさるには良い時期が来たと言えると思います。
なすびNs. 「そういえば、レーザー治療って夏の間は全然やっていなかったよね。」
美夏Dr. 「だって同じことをしても、春から夏の間に照射すると、どうしても炎症後色素沈着の時期が長いし、黒くなる確率が高いもの。わざわざ治療のリスクを高めることは、医者はやらないよね。」
なすびNs. 「炎症後色素沈着を避けるための方法ってないのかな?」
美夏Dr. 「レーザーの照射のまえに、ハイドロキノンを1日2回1月前後塗っておくと良いとされているよ。そうしても、起こる人は起こるけれど。」
なすびNs. 「ビタミンCのイオン導入は?」
美夏Dr. 「良いと思うけれど。でも結局通院しなければならないし、費用がそれなりにかかるからね。原則イオン導入をしなくても、紫外線にあてずにそっとこすらないようにしていれば取れるはずなので、無理にはお勧めしていない。他の理由もあるなら積極的にさせていただくけれど。結局は患者さんでご希望があればってところかしらね。」
それにしても、本日のアップは3本でした。天気も悪くて暇だったということですね。忙しい時はものすごく忙しいし、暇な日は暇で、少し予約で調整できれば良いのですが、それがなかなか難しい。
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この週末は涼しくて、日は短く紫外線は弱くなり、秋が訪れたように感じられました。美夏クリニックのような皮膚科や美容外科の診療所では、そろそろしみ治療を開始する時期です。
私も夏の間に黒くなった頬を、トレチノイン療法で漂白治療に取りかかろうと思っています。
ところで、しみの治療で一番重要なことって何だと思いますか?
しみはメラニンが局所的に大量にあるために、しみとして色が濃く見えます。しみの治療ではメラニンを追い出すことが目的となります。メラニンを産生するメラノサイトをなくす治療をしているわけではありません。
メラノサイトを破壊するような治療をすれば、色は白く抜けてしまいます。それなので、しみ治療が終わった後もメラノサイトはそのまま皮膚の基底層というところに残っています。
言い換えると、メラノサイトの活動を活発にするような状態になれば、しみは再発、再燃する。
皮膚は外からの強い刺激があると、皮膚そのものを厚くするか、色を濃くすることで皮膚を守ろうとします。 メラニンは、紫外線から細胞の核を守る傘のように皮膚の細胞のなかで配列します。メラニンは皮膚の細胞を守る大事な兵隊なのです。だからこそ、その兵隊を集めないように、皮膚を戦闘状態におかないように、刺激から守ってやらなければ、せっかくしみを抜くための治療をしても、長持ちしません。
しみの治療を希望なさる方は、しみの治療中も治療後も皮膚を大事に扱わないと、しみ治療そのものが順調に行きませんし、しみが抜けたと思っても再発が早い。皮膚を大事に扱うとは、特に色の治療については、紫外線にあてない、摩擦の力をかけないの2点が重要です。(本当にしつこいですけれど)
しみの治療で重要なのは、しみは再発再燃しやすいことを理解した上で治療しましょうというお話でした。
Ns.なすび 「ふーん、それでセンセは夏に日焼けして、秋に漂白して忙しいんだ。大体日焼けなんかしなければいいじゃない?」
Dr.美夏 「仕事柄ねえ焼いてはいけないと思っているんだけれどーーー。でもね、ゴルフはやらないけれど、海も好きだし、スキーも大好き。仕事を間違えた!!」
Ns.なすび 「で、どうすんの?その誰から見ても黒いほっぺ。」
Dr.美夏 「トレチノイン療法かな。やっと先週からしみの治療ができる陽射しになってきたと思ったんで、患者さんでも治療を始めたものだから、自分の分のトレチノインがないの。届いたらやってみようと思っているんだけれどーーー。」
Ns.なすび 「私が患者さんだった頃には、そんなに黒くなかったじゃあない?」
恨めしそうにDr.美夏 「更年期らしい。もともとしみにはならない体質かと思っていた。色白と言われていたし。学生時代にスキーで散々焼いちゃっても、あんまりしみがなかったんで、私には無縁の世界かと思っていた。全然科学的ではないよね。5年まえにオバジのnu-dermやったときには、多少日焼けしてもダメージはなかった。」
Ns.なすび 「琴線に触れちゃったかな?」
Dr.美夏 「昨年来どうやら少し紫外線を浴びてもすぐ肝斑が悪くなる。一端きちんと肝斑って出来ちゃうと、すごく感受性がよくなる(すぐに悪くなる)ように思う。結局一度作るとすぐ増悪しやすいのかなあ。
すぐに黒くなるのが、更年期に差しかかったからなのか、一度しっかり肝斑を作っちゃったからなのか、どちらなのかよく分からないんだけれど、2年まえの写真では肝斑はないからねえ。嫌だねえ、年取るのは。」
Ns.なすび 「それなのに、また青空の下遊びに行くんでしょ?まったく何科の医者なんだかちゃんと分かっているの?」
Dr.美夏 「人は皮膚のみにて生きるわけではない、なんちゃってね。」
みなさま、治療中は真面目に頑張りましょう。
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