●傷の治療 |
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消毒はやめよう(1) 2006/5/27
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「傷を治す」やり方について、この10数年で常識が変わりました。
まず【新しい創傷治療】の現在の常識のポイントをお話します。
1、消毒しない
2、よく洗浄する
3、湿潤環境(ウェットにする)に傷をおく
の3点です。
やけどや擦り傷などの怪我をしたとします。以前でしたら、まず消毒。私が子供のころは「赤チン」というものを塗りましたし、赤チンがなくなってからは、「ヨウチン」を使っていたでしょうか?現在でも消毒液として、医療機関の中ではイソジンというヨード系の薬が良く使用されます。
消毒薬は、細菌(ばい菌)について、殺菌作用があるものを言います。今のように抗生物質がなかった時代には、化膿すると命とり。 とにかくばい菌は退治しなくては、と消毒することが大変重要な治療でした。 長い歴史の中で、病気との闘いが実は細菌との闘いであったことを考えれば、当然のことだと思います。
でも消毒薬は、傷が治ってくる過程で新しく出来てくる新生細胞やその場所で防御作用をしている白血球などの細胞にもダメージを与えます。傷が治るのに役に立つ良い細胞についても、外からの敵かもしれない細菌に対しても、ダメージを与えてしまいます。細胞障害性があるといいます。
また消毒薬でかぶれることがあります。「傷が治りません。」とおいでになる患者さんのなかに、消毒かぶれの人ってかなりいます。 まあ治療は、結局はやったほうが得なのか損なのかで、その方法が良いか悪いか決まります。
それで、色々なやり方を比較検討してみた結果、ばい菌を退治しようとする消毒薬を傷に使って、自分自身の治癒能力(新しい細胞、免疫を高める細胞)を抑えると、結局は傷の治りが悪いという事がはっきりしてきました。
本日の結論 消毒すると、傷の治りが遅い
下記のサイトに詳しい内容があります。
http://www.wound-treatment.jp/
次回は2を後回しにして、3の湿潤環境についてお話しますね。
そうそう懺悔するのを忘れていた。 医師になって3年目の「先生、回診して消毒するって、儀式でしょ?」に対しては、「消毒なんかしちゃ駄目でしょ?患者さんの具合を拝見し、必要なら洗って乾かないようにしておきなさい」って言うべきだったんですよね。 懺悔その2本日お昼にampmのドライカレーを頂き、さらにヨーグルト、アーモンドチョコレートまでうっかりつまんだ。勿論怖くて、この1週間体重計には載っていない。事務の元陸上レディに、「私ダイエット中なんだよね。もうこれ以上食べられないや」っと言ったとたん噴き出されてしまった。 気のせいか、ウエストベルトがきつい。月曜日が怖い。また、なすびに怒られる!!
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消毒はやめよう (2) 2006/6/1
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消毒すると傷の治りが遅い
前回のキャッチフレーズは、上記でしたね。
本日は傷を湿潤環境におくと言うことをテーマにお話します。傷が治ってくるときに、身体の中から浸出液とよばれる水が出てきます。
そうです、気、血、水の【水】を思い出してください。こちら
その浸出液の中に入っている物質は(西洋医学的には)
1、 |
出血をとめるための物質血小板や血小板から出てくる糊のような物質
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2、 |
外部からの病原微生物に対抗するための物質白血球や補体、免疫グロブリンなど、感染防御の物質
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3、 |
新しい皮膚や皮膚の下の組織を作るための物質種々の成長因子や線維芽細胞などの傷をふさぐための物質
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の3種類があります。
元々動物は、傷を受けたときに、このような傷を治すような物質を自分自身で作り出しています。乾いてしまうと、その自分を守る細胞、新しく治ってゆく細胞は死んでしまいますし、物質であれば壊れてしまいます。せっかく自分の身体が作り出している有益な仕組みは大事にしたほうがよい。
もちろん、傷を受けたわけですから、外界の病原微生物に対してどう自分を守るかという配慮は必要です。
ほとんどの傷で問題になるのは、自分の皮膚にもともといる常在菌です。この常在菌が傷で悪さをするときには、炎症が起き赤く腫れる、熱を帯びる、痛くなるなどのサインがあります。そのようなサインがあるときには、常在菌に対して対処が必要です。でもそれは消毒ではなく、抗生物質を使う方が傷の治りが早い。 要は、自分の治る力と外界からの種々の要素のバランスです。自分の治る力(免疫)を大事にするためには、乾かさず傷を湿潤環境におく(ウェットにしておく)ことが重要です。 湿潤環境は、多めの軟膏や創傷被覆剤やラップなどで、簡単に作れます。ジョンソンアンドジョンソンのキズパワーパッドは、ドラッグストアで簡単に手に入る優れものだと思います。
使い方は、また次回のお楽しみに。
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消毒はやめよう (3) 2006/6/11 |
昨日からサッカーワールドカップ 眠くなっちゃうので私は拝見しておりませんが、家の男どもは遅くまでみていたらしい。サッカーも格闘技みたいですよね。ぶつかり合って、転びあって---。残念ながら、私はサッカーの経験がありません。
ということで、怪我したときの、最初の治療 洗浄について話をします。 新しい創傷治療の基本は
1、消毒しない
2、傷はよく洗おう
3、湿潤環境に保つの3点とお話しました。 消毒しないこと、湿潤環境に保つことは、結局自分の身体に備わった治る力を大事にするためです。
でも、怪我のせいで、身体の一番外側にある防波堤、バリアがすでに破綻してしまっています。体の中からは、身体のなかの警察である免疫機構が動き始めています。
怪我したときに最初にすべきことは、外から入ってきたものがあれば、それを洗い流し、免疫機構の働きを充分に助けてやることです。大量の水で洗い流すのが一番です。このときのお水は質より量と覚えておいてください。 水道があれば、水道の水で、海ならば海水で、何もなくて水筒があればそのなかのお茶だって構いません。滅菌されている必要はない。
傷の中に、砂やガラスなどが入っていて取れないときには、お近くの医療機関にかかりましょう。形成外科があればそこに行ってみましょうね。 医師は、異物が残っている可能性があれば、必要に応じて麻酔の注射をし、ブラシやほかの道具を用いて取り除きます。 広い浅い傷で、砂や土が残っている場合には、この怪我した直後の治療が一番効果的。時間がたつと、外傷性刺青といって、色が残る場合があります。
現在では、レーザーでこの怪我による刺青をとることができる場合があります。でもしばらく前までは、手術操作を加えなくてはこの外傷性刺青って取れなかった。初期治療なら、わずか2分の治療なのに、後でその色をとるのはなんて大変なことかと残念に思ったことは数知れません。 あとひとつ。ふつうの傷は洗浄すれば、ほかの感染(ばい菌)対策は不要です。でも、土壌からの汚染、犬や猫などの咬まれた傷、など例外があります。早い時期から抗生物質が必要な場合、また普通の傷であってもだんだん腫れてきた、赤くなってきた、痛みが強くなってきたなどの場合、医師による治療が必要になります。
雨さえ降らなければ、アウトドアのよい季節です。子供さんたちを連れて出かけるときには、キズパワーパッドと洗浄用ミネラルウオーターがあれば、とりあえずの救急処置は可能でしょうか?
せんせ!!いつまでも若いと思っていると、大怪我するよ。創傷被覆材のまえに、ダイエットもかねてエクササイズしたほうがいいんじゃない?? わかった、わかった、退散します。
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