内科編 No1.

薬を飲むということ

 薬がきちんと飲めない-懺悔録  2006/5/12

前回書いた防己黄耆湯であるが、まだ2袋しか飲んでいない。 きちんと時間を決めて薬を飲むというのは、大変なことだと思う。

いや、私だって飲める時もある。杉花粉症が結構重症で、頭はふらふらするし、鼻水鼻づまり、くしゃみ、皮膚は痒い。アレルギー性鼻炎と言うより全身疾患である。
抗アレルギー剤は花粉の飛んでいる時期は、きちんと飲める。
飲んでいなければ、手術前にマスクの下にガーゼを2枚入れて、それでもおそそうしてしまうかと心配になる。飲んでれば頭はふらふらでも、とりあえず何とか仕事はできる。

そういえば小青竜湯はいい薬。眠くならないし、ふらつきも出ない。私はこちらを頓服で使う。1日3回飲むのはねえーーー。 結局、効能が即時ではっきり出るものでないと、どうも忘れてしまう。
どちらにしても、今年の花粉は飛散量が少なくてよかったですね。

近くの産婦人科の先生に、子宮筋腫が大きいので内因性のホルモンよりもとピルを勧められたが、「いやあ、忘れてしまいそうで」とついぽろりといった瞬間、じいっと見つめられ、「先生医者ですよね?患者さんに薬を処方されているんですよね?」と言われた。
穴があったら入りたいというのは、この事で、南半球までもぐりたくなった。 ちなみに、患者さんが薬を飲んでいなくても、私はその患者さんを非難することはあまりない

「当たり前でしょ、まったく恥ずかしいたらありゃしない。」いるはずの無いナースBの声が聞こえたような気がした。被害妄想かな
追い討ちをかけるように、面倒くさがり屋ナースが、
ブログの題名を「懺悔録」にしたらどうですかあ?って帰りがけに声をかけて行った。

コンプライアンス ちゃんと飲むために  2006/5/13

飲まない飲み薬は効かない。塗らない塗り薬は効かない。

まあ、当たり前と言ってしまえばその通り。でも、薬の飲み合わせの問題もあって、安全に正しくきちんと使っていただこうと心を砕く。 薬をきちんと使っていただくと言うことを、コンプライアンスをあげるという。

コンプライアンスをあげるために、
製薬会社は例えば
1、小児用の薬であれば、ドライシロップの味付けを工夫する
2、1日に3回だった薬を、血液中に残っている時間を長くすることで、1日に1回でも大丈夫なようにする。
(小青竜湯は1日3回なので飲み忘れちゃうけれど、抗アレルギー剤は1日1回なのでちゃんと飲めるーーー恥だけれど)
3、パルス療法といって、例えば1週間飲んで3週間休む

薬局でも
1、苦い薬であれば、「お薬飲めたよ」というジェリ−状のオブラ−トのような、粉薬を包み込むものをご案内する。
2、多種類の薬が処方されていれば、1回分を1つの袋にいれるなどの工夫をする。

処方する私としては
1、必要な理由と必要な期間を説明する。
2、コンプライアンスの高いと予測される薬を処方する(甘い薬があればそちらを選ぶとかね)

自分自身がきちんと薬を飲んだり塗ったりできない方なので、これこれしなさい的な診察は苦手で、これをこうするとこうなるけれど、どうしますか?的にどうしてもなってしまいます。

もっと白状すると、形成外科だけやっていた期間が長かったので、昔は薬が効くという感覚があまりなかった。切った貼ったの世界だったのね。
それで、他の科の先生方との接触が多くなった卒後数年目のときに、何がきっかけだったか思い出せないのですが
「薬って効くんですね」としみじみつぶやいた。前にいた内科の先生の唖然呆然とした顔が印象的だった。(勿論馬鹿にされたのだが)

どうも自分の「懺悔」の話になると、いくらでも思い出してしまう。 医者になって3年目、病棟回診と言って外科系医師は毎日入院中の患者さんのところへお伺いし、消毒をする。上級医と一緒に回診中に「消毒って儀式でしょ?何の意味もないじゃん」と口を滑らせ、すごく怒られた。今だったら、同じ怒られるにしても「消毒しちゃいけないっていうのが、まだ分からないのか」って怒られるところですが。