アンチエイジングは若い時期から
一昨日昨日と美容外科学会でした。
美容外科学会は10年位前にはあまり活発だった印象がないのですが、最近は参加者の数も500人を超したと言っておられたかしら、真剣な討議がすすんで、大変盛況で熱気にあふれていました。
美容外科学会で必ずシンポジウムのテーマになるのが、フェイスリフト。美容外科医はフェイスリフトでよい結果を出すために、日々精進しているのかもしれません。
このところ北里の美容医療研究所の宇津木先生を頭にして、美容医療の新しい基準が作られつつあるように思います。
そのひとつが、アンチエイジング治療はなるべく早い時期からというのがあります。
これは一体何を根拠にしているのか?
お顔の深い部分と皮膚をつなぐ線維組織があります。この線維組織はretaining ligamentといいます。骨格と皮膚を皮膚に対して垂直に走っている線維組織です。例えてお話しするならば、ヨットで帆をマストに結び付けているロープがこのretaining ligamentです。皮膚が重力で下方に引っ張られてくると、この線維組織が当然引き伸ばされてきます。ロープが緩むと帆が広がってはためき始める訳です。
年齢が高くなって例えフェイスリフトで皮膚とその下の薄い筋膜組織SMASで引き上げを図っても、重力の力は術後もかかっておりますので、どうしても緩みがでてくるまでの時間が早い。ロープが緩んで長くなる前にしっかり結びなおしておきましょうと言うのが、早い時期からフェイスリフトの手術はしておいたほうがよいという根拠だと思います。
手術はどんどん拡大して大きくなってゆく流れと、ミニマムでなるべく大きな効果を出そうとする流れとがあります。手術の術式というのはこの二つの流れの中を歴史的には行ったり来たりしています。 ここしばらく海外の学会には参加できておりませんが、4年前だったかフロリダでBakerGordonシンポジウムというのに、参加した時に同じ流れを感じました。retaining regamentの概念を提唱されたDr.Stuzinは前者で広範剥離しっかり再建の手術をされていましたし、Dr.Bakerだったか(フロリダの方ではない)lateral smasectomyというミニマム手術でよい結果を出されていました。(場所を取る書籍類を涙をのんで処分してしまって、確認できません。もしかしたら正しいお名前ではないかもしれません)
自分が手術をうけるならば、きっと選ぶのはミニマム手術かなあ。その場にならないと分かりません。
フェイスリフトでは、年齢が高くなり緩みが顕著になり線維組織(皮膚を支える前述のretaining ligament)が緩むと、その緩みを改善するまで手術では剥離し、線維組織を再建しなければならない。
宇津木先生の所ではそのSMASの下の線維組織を結び変えてやり、上へ引き上げてやるという手術をなさっています。
8時間超かけて手術をなさるそうです。朝手術室にはいると、患者さんが出てこられるのはもう夜ですね。とても診療所で安全に手術できる時間ではありません。
だからこそ、「早め早めにリフトしなさい」 「早いうちからケアをしなさい」ということになるのでしょう。早い時期であれば小さい手術ですみ、ロープが伸びきっていなければ良い結果もまた、持続しますものね。
宇津木先生の「40台になったら、フェイスリフトをしなさい」というご発言が心に残ったフェイスリフトのセッションでした。
お洋服をかけるハンガーがありますよね。人の顔ではハンガーは額からこめかみ部分。このハンガーの本体をきっちり早めに作り直しておくことが、美しさを保つためには大事だそうです。
個人的に少々宇津木先生とお話していましたら、是非早々に額のフェイスリフト(前額リフト)をするように、勧められました。
うーん、気になるところ一杯あるけれど、きりがないなあ、時間がないなあなどと思いながら、帰宅いたしました。
しばらく、美容外科学会のお話を続けます。
posted at 2006/10/10 13:26 | kojitomika |
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