昨日のブログの続きです。
クルエラのように眼瞼下垂があると、眉毛を上へ持ち上げて物をみることになります。クルエラの画像はこちら ( 下方に貼ってある絵をご覧ください)
眼瞼下垂ではいつも眉を吊り上げ、皮膚の力で瞼を引き上げて物をみているこのクルエラのような表情になることがあります。その結果、頭痛や肩こりが現れることがあります。 実際眼瞼下垂の手術(この場合腱膜修復手術+皮膚切除)をさせていただいておりますと、頭痛肩こりが軽くなったという患者さまがおいでになります。
でも当然のことながら、下垂が原因でない頭痛肩こりは治らない。
私は頭痛肩こりがあるから眼瞼下垂の手術をするというのは、やや飛躍しすぎだと思っています。下垂の程度も患者さまによってずいぶん異なりますしね。
眉毛を上へ引き上げて物をみていますので、額のしわはどうしても深くなります。
でも眼瞼下垂がある人の深いしわにボトックス治療は向いていません。せっかく眉毛を持ち上げてようやく眼を開いているのに、ボトックスで引き上げている前頭筋をブロックしてしまうと、眉毛を持ち上げることが出来なくなって、瞼が重くなり視野が狭くなってしまうのです。眉の位置が下がると二重のラインが狭くなり、印象として重そうな瞼になってしまいます。
同じことが下垂であると患者さん御自身は気がついていなくても、年齢よりも深いしわが額にある人にも言えます。しわが深いということは、その部分の筋肉の動きが活発であるということ。額のしわを作る筋肉の動きをボトックスで止めてしまうと、眉毛の位置が下がり瞼が重くなってしまいます。
眉毛の位置が下がると瞼が重くなりそうな患者さまには、まずご希望でFiller(ヒアルロン酸やコラーゲン)を注入いたします。Fillerはへこんでいるところを浮かせる注射で、筋肉の動きがない状態でしわが目立たなくなるのが目標です。
表情でよく動く部分のおしわにFillerを注入すると、へこんだところが膨らんでよさそうなものです。実際、おしわは改善されます。ただ筋肉の動きでしわがでている場所には、Fillerのみであれば、どうしても動きでおしわ残りますし、しわの再発が早い。注入剤が筋肉の動きで少しずつ動いてしまう。ボトックスを高めの位置に注入し、不足分にFillerを使うなど工夫を致します。
このあたりが注入剤で額のしわを改善する限界だろうと思っています。
ボトックスって表情を変える注射なので、最終的にはどの場所にどの位注射した表情が好きかって話になるのよね。もともと豊かな表情の方だと、しわは取れたけれどなんとなく固い感じになる時がある。
額でも、全く動かないのがお好きな方もいらっしゃるし、眉の少し上は動きを残した方が好ましい方もいる。
ボトックスって患者さんが好きであればok
嫌いであれば、3-4月待っていただければ効果は消えてしまうので、繰り返しは打たない
ということになります。
気に入っていただいた効果がなくなるのは悲しいことかもしれません。でも、注射製剤は、万一の気に入らない結果やトラブルを避けるためにも、一時的で吸収されるものの方が安全です。長期間持続型のFillerでしこりができたり、変形がでたり、少なからぬ報告があります。
posted at 2006/10/06 09:11 | kojitomika |
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