「痩せたい」について (Dr.筑田)
陽子さんがBMIが正常なので、ミロのビーナスと比べて遜色がなくなった。だから、ダイエットをする必要がないと言われて、憤慨していましたね。医師から見た健康美とは何か、筑田先生に尋ねてみました。
では、先生よろしくお願いします。(以下筑田文)
多くの痩せたいという患者さんはもちろん美しくなるのが目的です。でも医師がまず第一に考えることは、健康美です。
優れた運動能力を備えた身体の形と、充実した精神の輝きが調和して、美を形成すると、私は思います。
若いときには、身体の基礎代謝が高く運動量も多いため、プロポーションをギリシャ彫刻のように保つのは不可能ではありません。年齢を重ねると次第に基礎代謝が落ち、仕事などの時間的制限から運動する機会も減り、よほどの努力なしには均整の取れた体形を保つのは困難になります。
私は、学生時代陸上競技をやっていました。そのときに見たグラウンドで走り、跳躍する女性の姿は美しいと思ったものです。でも、そのときに一緒に走っていた人々が現在も同じような体形を保っているとは想像できません。
女性では年齢と共に皮下脂肪がつきやすくなります。特に腹部、腰の周囲は一度脂肪がたまりますと、それを取ることは難しい。
男性ではお腹の周囲が太くなりますが、これは皮下脂肪と共に内臓脂肪の蓄積によって太鼓腹が作られ皮下脂肪は女性よりつきにくいようです。
私は時々田舎に帰って温泉を楽しみます。このとき温泉で出会う現役の漁師さんたちは中年以降でも筋骨たくましくて、太鼓腹の中年太りの漁師さんはまずみかけません。ご存知のように漁師の生活は厳しく、板子の下は地獄への道。肥満状態では厳しい作業をすることは出来ません。漁師として生きていけないからです。船に乗らない奥方さまがたはたいていの場合肥満しておられます。つまり運動量によっては、肥満を解消することはさほど困難ではありません。
女性の方が肥満しやすいのは、確かです。でも例えばダンサーのプロポーションが保たれているのを考察すれば、一般の女性の参考にもなりそうです。ダンサーは、一日に必要なカロリーや食材の吟味、栄養バランスをプロとして考えているものと思いますし、運動量も並大抵ではないと思います。
適正体重を考える時、一般的にBMI(Body mass index)を計算し、22を標準値とし、このグループは統計的に最長寿であるため適切としていますが、個人個人でその人に最適な値は当然異なってきます。
先ほどのダンサーですとBMIは20ですと身体は重くダンスにならないので当然20は切っているでしょう。
自分の例で考えますとBMIの22は確かに脂肪のつきすぎです。学生時代の6年間は毎日のように走り、BMIは常に63kg/1.75×1.75=20.6 でした。夏休みの帰郷でご馳走を食べ過ぎていると5Kgは増加し、BMIは22.2ですが身体は重くとても競技は出来ず、元に戻るのに2ヶ月はかかった記憶があります。
この様に体重減少を考え美を考えるときはBMIだけにこだわらず、個人の生活全体を詳しく見直す必要がありそうです。
posted at 2006/09/21 13:39 | kojitomika |
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