マドンナリフトとは 歌手のマドンナさんが過去にこの施術を受けたという事から、デカ社のフラクショナル炭酸ガスレーザーによる照射をマドンナリフトと呼ぶようになったそうです。
治療の特徴 皮膚の表面に小さいドット状の穴をあけて、皮膚の凸凹を滑らかにし、なおかつ皮膚を引き締めます。具体的には、ニキビ跡や瘢痕状となった開いた毛穴、口回りや眉間の刻まれてしまった皺など。
レーザーの特徴
炭酸ガスレーザーは、波長は炭酸ガスレーザーで10,600nmです。フラクショナルレーザーとは小さなドットで水玉模様に、無数に照射する方法です。10,600nmの波長は炭酸ガスレーザーで、皮膚深部の真皮層まで微細な穴をあけます。炭酸ガスレーザーは照射すると穴の周囲に熱が発生します。その熱で皮膚がきゅっと引き締まります。皮膚と皮下組織が収縮し、さらには長期的に新しいコラーゲンの再生が促進されます。これにより、ニキビ痕の凹みを縮めたり、傷痕を目立たなくすることができます。
グローバルには、リジュビネーションの標準治療です。でも痂皮が付くタイプのablativeな治療ですので炎症後色素沈着や赤みの時期があり肝斑リスクもあり、日本ではあまり一般的ではありません。しかし私は、表面をマドンナ、深くをハイフ、そして注入が非手術的治療では一番効果的と思います。
レーザー機械について
スペインのデカ社のスマートサイドドットという炭酸ガスレーザー本体は厚生労働省の認可のある医療器械です。その認可されたスマートサイドに未認可で個人輸入したスキャナーを取り付けて、水玉模様のドットの形に照射しています。炭酸ガスフラクショナルは、導入時には認可機械はありませんでしたが、現在はシネロンキャンデラで認可されています。
デカ社の特徴は、照射されたレーザービームのパルス波形が後半で2msecほど低出力でロングパルスになっており、ここで熱放出されます。比較的照射深度は浅く(ルートロニックとの違いです。ルートロのレーザー機械はおおむね焦点は小さく鋭く深く照射します。本当に対照的です)、 引き締まり(熱収縮)が良くなります。ただ熱による効果が高いという事は、引き締めには良いものの、炎症後色素沈着や赤みの遷延の理由になります。ハイリスクハイリターンタイプの治療になります。
老化した肌そのものを入れ替えて、新しい肌に生まれ変わらせるのが目的です。皮膚の引き締め効果・コラーゲンの再生力が強力なので、しわ・たるみにも非常に効果があります。
主な治療対象疾患 皮膚表面の凸凹や毛穴と引き締めに一番効果があります。言い換えると皮膚の深部に熱をかけたい時にはわざわざ炭酸ガスフラクショナルを使う必要はありません。
各種瘢痕(にきび痕、手術痕、やけど痕など) 傷跡の凸凹の治療としてはベストと思っています
光老化肌(おでこ特に眉間・口周りのしわやたるみ、刻まれた皺)
マドンナリフト(目周りのしわやたるみ、薄いちりめん皺) 口回りの放射状のしわは他の治療が難しいので早い時期から治療しておくとよいと思います。
肌質改善(美肌、美白、くすみ、毛穴ケアなど) 鼻の毛穴(回数がかかります)
汗管腫・いぼ・ほくろなどの除去 (これは普通の炭酸ガスレーザーのほうがお薦めです)
治療のスケジュール 1回の施術でおおよそ10%程度の皮膚が入れ替わるとされているため、1~2か月おきに4~5回程度が推奨の頻度・回数とされています。但し、対象疾患・程度により個人差があります。なるべく紫外線の弱い時期に、1か月半に1回 数回の治療をお薦めしています。
フラクショナル炭酸ガスレーザー治療の手順
1,治療の説明、写真撮影、麻酔のクリームを塗り、抗生物質と抗ウイルス薬を内服します
2,瞼に照射するときには、プロテクターとなるコンタクトレンズを入れます。(アイプロテクターで可能な場合もあります。瞼縁まで丁寧に照射するときにはコンタクトレンズが必要です)
3,照射が終わると冷却し、ご希望でイオン導入をして終了です。
4,照射後24時間は皮膚に小さな穴が開いています。当日の洗顔・洗髪・入浴は控えてください。お薬のみ塗ってください。ヒリヒリしている期間は冷やしてください。
5,治療後2~3日目から施術部位にドット状のかさぶたが発生して、約1週間から10日ほどで徐々にはがれてきます。(治療の程度により個人差があります)こすって取り除きたくなりますが、自然に剥がれ落ちるのをお待ちください
6,照射部位に炎症後色素沈着と呼ばれるぼんやりとした色素斑が生じる場合があります。赤みも遷延する場合があります。加療によって落ち着きますので、医師にご相談ください。
治療のリスクと副作用
1,治療に痛みがある(麻酔のクリームが必要)
2,炎症後色素沈着や赤みが遷延しやすい
3、肝斑が出現したり、増悪したりすることがある
4,回数がかかる(大変なのに回数がかかる)
5,ニキビ跡の傷跡の凸凹には、TCAまたは炭酸ガスレーザーで角を落とす治療を併用したほうがよい。(引き締めをしないと凸凹が残るのでそういう意味ではエルビウムよりも炭酸ガスレーザーであるほうが良いと思っています。)鼻の毛穴は、脂腺の活動は抑えられていない。
6,穴をあける治療なので、感染症リスクがあります ヘルペスやニキビやその他の感染症。予防的投薬をしていますが、痛みや腫れが酷くなったときにはすぐにご連絡ください
7,結果が不十分の場合はあると思います
その他
- フラクショナル炭酸ガスレーザーは微細ですがピーリングの効果があるので、施術前後2~3週間程度は、角質除去剤やスクラブ、アルコールなどの刺激成分が入っている化粧品の使用を控えてください
- 施術前後は必ず日焼け止め(SPF20以上)と帽子や日傘をご使用ください。紫外線に当たる機会の多い人は、10月から1月の紫外線の弱い時期をお薦めしています。
- 施術直後は日焼けをした感じのほてり感と腫れが出て、肌が波打つような状態となりますが、数時間後には落ち着きます。できる限り保冷剤などで冷やして、保湿に心掛けてください。軟膏外用直後はひりひりした状態になりますが時間と共に落ち着きます。
- 治療の程度や肌状態により個人差はありますが、治療後1~3日のうちに強い痛みはほとんど落ち着きます。赤みや腫れの引きが悪くてご心配な場合は当院にご連絡ください。
- 照射後24時間は皮膚に小さな穴が開いていますので、当日の洗顔・洗髪・入浴は控えてください。炎症を落ち着かせる軟膏をお渡ししますので、必ず外用してください
- 治療後2~3日目から施術部位にドット状のかさぶたが発生して、約1週間から10日ほどで徐々にはがれてきます。(治療の程度により個人差があります)こすって取り除きたくなりますが、自然に剥がれ落ちるのをお待ちください。保湿を十分にすると早めにとれる傾向があります。
- 1回の施術でおおよそ10%程度の皮膚が入れ替わるとされているため、1~2か月おきに4~5回程度が推奨の頻度・回数とされています。但し、対象疾患・程度により個人差がありますので、担当医師にご相談ください。
- レーザー照射後、しばらくたってから、照射部位に炎症後色素沈着という色素斑が生じる場合があります。とくに重ねて照射した部位には強く出ます。この場合、治療によって落ち着かせられますので、医師にご相談ください。私は数回の治療を終えた後に、ゼオスキンヘルスで色を落とし、フォトやロングパルスヤグレーザーで赤みも減らすのが良いと思います。