ニキビは、慢性の再発性の疾患です。悪化因子がたくさんありますので、それをきちんと診断し、その悪化因子のそれぞれに治療をしないと、なかなかきれいになりません。勿論日々のスキンケアが一番重要です。
またかなり状況が良くなっても、体調が悪かったり、生理が不順になったり、色々な要素で再度悪化します。よく美容系の学会や研究会では、「半年の壁」という言葉を聞きます。治療して、一端良くなっても、にきびの出来やすい状況が改善されていなければ、半年くらいで再発してくる場合がある。
このニキビの出来やすい状況とは
1、ホルモン状態(いわゆるホルモンバランスが悪い。言い換えると産婦人科的にはあまり問題がないけれどーーー妊娠出産には支障がないけれどーーー脂腺を刺激するアンドロゲンがやや多い状態。勿論産婦人科的にも問題があるようであれば、その状態が改善しないとなかなか大変です。)
2、ストレスや過労で、免疫状態が悪いーー皮膚が治るまでの力がない
3、化粧でニキビを作りやすくしている
4、もともとにきびの出来やすい家系で年齢的にも、まだにきびのさかりである
などがあります。
ところでニキビ治療のスタンダードに抗生物質の投与というのがあります。長期にわたる抗生物質の投与は、過敏症などの副作用のほかに、薬剤耐性菌を作り出す、全身の常在菌のバランスを崩す(カンジダ症や下痢など)などのリスクがあります。抗生物質の投与によるメリットが、リスクを上回れば、それはそれでよいと思います。
ニキビ治療における抗生物質の投与は、細菌による感染や炎症を抑える目的でなされますが、薬の代わりにフォトセラピーやレーザーを照射するというやり方があります。
赤い色に反応すると熱を発生し、特に赤みのつよい炎症性ざそうに効果があります。機械(つまり厳密な波長)はあまり選ばないように思っています。400nm台の波長が、アクネ桿菌の産生するポルフィリンに反応し、より選択的であるという論があります。でもブラックライトを照射してみると、ポルフィリンの紫色が強くでる患者さんは必ずしも多くない。どうかな、印象では30%位に思います。巷で言われているほどに、アクネ桿菌が主体となっているにきびは多くはないのでしょう。
もともとアクネ桿菌は、嫌気性菌といって空気が嫌いなので、確認が難しいんですよね。アクネ桿菌が、マラセチアと同じように脂が好きな常在菌であることも、ポイントです。
美夏クリニック http://www.mika-clinic.com ではメディラックスによるフォトセラピーを時々させていただいています。フォトは肌質改善や赤みをとるのにも良いので、良い治療法だと思っていますけれど、自費診療になってしまうのが欠点ですね。
にきびの患者さんの数は元々多い。
保険診療の範囲内で満足のゆく結果が出れば、それで良いでしょうし、薬が心配なら光治療なども良い。かなり治療方法が多岐にわたるので、返って患者さんの選択肢が多くて大変かもしれません。良く相談して負担のない治療から始めるのが良いと思います。
若返りの治療器のサーマクールが、ニキビ治療にも良い成績です。高価な治療なので、あまり日本では施行されておらず、ご存知でない方もおいでですけれど。
美夏クリニックでは、普通の皮膚科的治療だけの方とか、漢方のみとか、トレチノインやフォトセラピーの方とか色々な方がいます。どの治療が優れているというよりも、患者さんの状態や希望で選んでいただいています。
トレチノインは、決して魔法の薬ではありませんけれど、そして現在保険の適応はありませんけれど、よい薬だと思っています。コメドを追い出す薬です。治験が行われているそうなので、近々認可されるのではないでしょうか。私ははやく厚生労働省が認可し、もっと多くのニキビの患者さんが使えるようになればよいなと思っています。
posted at 2007/01/30 18:32 | kojitomika |
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