5月の行楽シーズンで、野へ山へ出かける人も多いと思います。
田舎育ちの私は子どもの頃から家にいることは嫌いで、四季を通して自然の中で楽しみを見出し、野山を駆け回っていました。 今の季節ですと、アザミ、ゼンマイ、ワラビ、タラの芽、もう少ししてフキ、ミズ(ウワバミソウ)、シドケ(モミジガサ)の採取時期となります。 ウドやタラの芽は好きで、取ってきては母に調理してもらっていました。
採取場所は例年同じ場所で、自分の秘密の場所として、極親しい人にしか教えません。 舞茸は自分で採ったことは無いのですが、このきのこは更に特別で、身内にも教えないのが当たり前だそうです。 毎年舞茸を背負ってくる親戚のおばあさんの場合は、やがて足腰が弱り、ついに脳梗塞で秘密の場所を他に教えることなく、天国まで隠し持って行ってしまいました。
この様に、山はそこに住む人たちの宝の山なのですが、都会育ちの人にはなかなか理解されないかもしれません。 マーケットでお金を出せば、今は山菜が手に入るあまりにも便利な時代になったものですから。
だけど、自然の中に入り、自分で食べ物を探し、採取し、食べる楽しみは、一度やって見ればアウトドア派ならすぐ理解できます。 ただし、最初は山を良く知っている人に教えてもらうのが必要でしょう。 食べられる野草と、有毒で時には死亡する野草と紛らわしいものがあるからです。 トリカブトがモミジガサに似ていますし、ギョウジャニンニクやギボウシにバイケイソウが似ていて中毒、あるいは死亡例があるからです。
もう一つの注意点は、根こそぎ取りすぎないことです。 栽培野菜と違い、厳しい場所に適応して生きている山菜は、間引く程度でにし、毎年取れるように大事に扱う事が必要です。 タラの芽も出て来る芽を次々に取り付くし、枝まで折られては枯れてしまいます。
植物の生命も尊重し、自然の恵みを分けてもらうとの気持ちがあれば、山菜取りも、山野草の花々を見ての散策もとても楽しくなってきます。 風の音、小鳥のさえずり、水の音を聞いているときは、とても幸せな気持ちになってきます。
たまたま散歩に出かけ、木の実や果物を見つけると、まず手にとって子細に目で確かめ(視診ですね)、つぎにクンクンと臭いを嗅ぎ、ちょっとなめてから少量口にとり、それから全部食べちゃうーーーいや猿の生態ではありません。筑田Dr.の食物採集(植物採集ではない)です。 貝のおつゆが食べたくなれば、海岸端を散歩してハマグリを取ってくる。(東京では、無理ですけれどね) オリーブを食べたくなれば、とりあえずオリーブの木を植えるーーー。はやくオリーブの実がならないかしらね。