人生を永く楽しみたかったら釣りを趣味にと言う言葉があります。 これは釣りが趣味の人の名言?
音楽好きに言わせれば、釣りの部分は音楽に置き換わるのは間違いないでしょうし、食道楽は美食に置き換えるでしょう。
私の趣味の一つにフライフィッシングがあります。
餌釣り、ルアーフィッシングもやらない事は無いのですが、楽しめるのはフライだろうと思います。
フライは鳥の羽で虫や小魚のイミテーションを自分で巻いて作るのですが、その作る過程も楽しいのです。本物の羽虫に似せ、あるいは自分の創作の作品を作っては岩魚や山女、鱒や鮭の水面を割って飛び出す様を想像しながらタイイングを行うのです。
下手なフライに賢い魚は追ってきても、プイとせせり笑いながら反転し、姿を消します。 タイイングも一つの芸術的センスを必要とするものなのです。
フライを目的ポイントまで飛ばす(キャスティング)も技術を要します。 障害物の中20-30メートル離れた5センチの円にフライを飛ばすには2-3シーズンの実践訓練を必要とします。
これで準備が整いましたら、次に魚の居る場所を知らなければなりません。 魚は川の何処にでも居るわけではなく、川の流れの水量、地形、障害物、時刻などによっている場所が特定できるのです。 慣れると川を見て一瞬でキャスティングポイントを決定できます。
フライをポイントに浮かせ流れに乗せますと山女ですと、0.02秒の瞬間で勝負が決まります。 岩魚ですとフワーと水中から浮かび上がりフライを咥えますので、あわてることなくしっかりとロッドを合わせる事がヒットのコツです。
しかし、成果はどうでも良いのです。渓谷での釣りは、川を渡りながら周りの数百歳の巨木、山野草、岩石の組み合わせの妙、飛び舞う昆虫、野鳥や獣との出会いが楽しく、魚を取ることは目的となりません。
川の流れを目で追っていると、川の音も、脳の活動も止み、自分が自然の中に溶けて行くような気がします。
川を渡り歩き、崖を登って汗をかいた後の爽快感はなんともいえません。
フライフィッシングにはこの様に瞑想の時を見出せる気がします。
posted at 2007/01/12 09:52 | kojitomika |