毛穴からの皮脂の排出量よりも、皮脂腺での生産量が多ければ、いずれコメドは貯留してきます。
皮脂の排出を促す治療の一つにケミカルピーリングがあります。15年くらい前から、保険適応はありませんが、一般的な治療になっていると思います。
ケミカルピーリングは皮膚の表面に薬を塗って、皮膚を剥がす手技です。日本では、グリコール酸や乳酸などのフルーツ酸が一番使われています。、剥離する層もvery superfacialと分類する皮脂と角質層の一部をはがすというきわめて浅いピーリングが一般的です。
ケミカルピーリングの効果は
1、皮膚表面のくすみが取れる 2、皮膚に塗る薬の浸透性がよくなる。(バリアが破綻される) 3、コメドの排出が促される。 4、新陳代謝が促される ということになると思います。
ニキビ治療においては、3番目のコメドの排出が促されるという効果が期待されているわけですが、コメドそのものを持ち上げて排出させるまでの効果はなかなか期待できません。
ちょうど皮膚科学会のケミカルピーリングを説明してあるサイトがありましたので、ご覧ください。こちら
このウェブサイトによれば、中等症の患者さんで2週間に1回の治療を6回、重症の場合は10回で、大体新しいニキビができるのを抑えられると記載されています。3ヶ月から5ヶ月ですね。ちょっと時間がかかりすぎている気が致します。ビタミンAのほうが早いかしら?アダパレンだと3月で60%の減少率というデータを拝見したので、同等かも知れません。トレチのほうがもう少し早く減少すると思います。
また、先月号の皮膚科学会誌にケミカルピーリングガイドラインが載っていました。それによると、ケミカルピーリングの弱いレベルでのエビデンス(効果)がある、すなわち「良質な根拠は少ないが、選択肢の一つとして推奨する」という効果がある疾患は、ざ瘡(にきび)、小さい斑状の日光黒子、小皺でした。他の皮膚の病気には、エビデンスなし。
手技も道具なので使いようです。過去のピーリングについての記事はこちら
美夏Dr.は、ニキビ治療としてはトレチノインの使えない人に、面疱処置を併用して、ややしっかりめのピーリングをする。またはかなり濃度を低くして、くすみをとりハイドロキノンやビタミンの浸透性をよくするのにピーリングをする。という2通りの治療をしています。最近では、後者の使い方の方が多いように思います。