傷跡を目立くする手術というのがあります。瘢痕形成術と言います。
その中で、皺を横切るような傷跡だと、光が当たったときにかげがくっきり見えて、目立ちます。その傷跡を、ジグザグに作り替え、陰を分散させるようにする手技をW形成術と言います。
W形成術をさせて頂き、2ヶ月経過した写真で、患者さまの了解がとれた画像がありましたので、紹介致します。頬の縦のラインの修正です。傷の長さは2cm程度です。かなり拡大した写真ですね。
手術痕は、最初少々赤みのある色がしばらくすると茶色くなり、1年も経てば肌色になって目立たなくなって来ます。(炎症後色素沈着 手術の炎症後色素沈着はそれなりに目立つので、どんな手術をしても最初は色が気になるものです。)
傷の幅が出ないようにしっかり真皮縫合といって皮膚の下の方も縫合してあります。そのためにW形成術では最初の頃多少。でこぼこするものです。
写真は術後2ヶ月なので、まだ色や形もできあがりではありません。それでもあまり目立たなくなっており、患者さんは満足されたようでした。
10年以上まえには、まだ車の運転するときにきちんとシートベルトをする人が少なく、自動車事故でフロントガラスインジャリーといって、顔を傷だらけにしてしまう方が沢山おいででした。形成外科医は頻繁にこのW形成術をしていました。シートベルトが義務づけられ、最近ではずいぶんW形成術を必要とする患者さんは減りましたね。良いことです。
ちなみに美夏Dr.は形成外科を専門とするかどうか迷っているときに、先輩がこのW形成術をしていらっしゃるのを拝見し、「こんな細かい仕事、とても出来ない」と感じました。でもね、まもなくこうした細かい手技が苦痛ではなくなり、さらには職人芸的な形成外科の仕事が大好きになりました。人はやってみないと、向き不向きは分からないものだと感じています。