変形性膝関節症の痛みは辛いものです。痛みを軽くする治療はいくつかあります。その中で鍼の治療効果がどうなのか、シリーズで筑田Dr.がレポートします。
関節は身体の形を変え、動きを作る大事な部分です。関節の周囲には、いくつもの筋肉がついていて、どの筋肉が収縮するかで動く方向が決まります。ヒトが直立して歩くようになったために、腕や肩で支えていた部分の体重をも、背骨や下半身で支えるようになりました。
関節は機械で言えば、蝶番です。蝶番は、使ってゆくうちに磨耗してゆきます。もともとの四足歩行よりも直立歩行になって体重が下半身にかかる分負担が増え、長期間使用してだんだん膝の関節のガタが来た状態が変形性膝関節症です。医学用語では、変形性膝関節症は、関節軟骨の変性破壊と炎症によって起こる膝関節の慢性疾患であるといいます。
膝関節症になると、とにかく痛いので日常の生活が大変制限されます。 結局は使いすぎと重みによる変化で、年齢と共に発生頻度は増加し、とくに中年以降の女性に多く認められます。
使いすぎてガタが来ている疾患なので、いっそ関節を新しくしてしまおうという治療があります。これが人工関節置換術です。
でも種々の理由で、手術をしない治療を選ぶ場合があります。
そうすると治療は、痛みを軽くして、いかに関節機能をなだめながらうまく使ってゆくかです。
今ある機能を上手く使うためには、まず体重をへらして関節の負担を減らす。周囲の筋力を増やして関節の負担を減らす事が重要です。(理学療法での運動機能保改善、関節支持組織の運動強化療法で、この中で病気の性格上運動療法がとても重要です。 )
いかに疼痛を軽減して日常生活に支障ないように出来るか
これが今回の主題です。疼痛軽減には鍼治療が有効であると多く報告されております。 特に鎮痛剤の長期服用で消化器系に副作用を認める人には鍼治療はひとつの救いです。 膝関節症治療法では運動療法が第一選択ですが、さらに鍼治療を組み合わせて効果はどう変わるか?
この項続く