食について 「チャングムの誓い」から
土曜日の夜遅くに「チャングムの誓い」という韓国のTVドラマが放映されています。たまーに拝見して面白く感じていました。そうしたら、レンタルビデオショップで貸し出しをしているのに気がつきました。1日1話で最初から見ています。
主人公のチャングムが、後宮で宮廷料理を色々作ってゆきます。
このお料理が東洋医学を門前の小僧として拝見している美夏Dr.にとって大変興味深い。食材を前にして、この食材は人の身体がどういう状態のときによいのか、この食材とこの食材をあわせると、どのような効果があるのかと番組のなかでは女官たちが、しょっちゅう議論しています。
もともと西洋医で外科系の私が漢方を出すときと、筑田先生が漢方を処方するのでは、かなり内容が異なります。多分私の処方は、どうしても患者さんにとって辛い病気や疾患から出発してしまう(症状による処方)からだと思います。
他人の出す処方や治療方法は、同じ科であれ、他の科であれ、いつも興味深く勉強になります。すっごく面白い。(ついつい患者さんが来たときに、どこの先生がどういう時にどんな処方をされているか根掘り葉掘りーー)どうしてこの処方が出たのか、その結果どうなったのかーーー。
それはさておき、漢方で身体の「冷え」にたいする処方がいくつかあります。温経湯(うんけいとう)、当帰芍薬散、呉茱萸(ごしゅゆ)湯など。あと代表的なものに当帰四逆加呉茱萸生姜湯というのがあります。
この中で温経湯、呉茱萸湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、には生姜が入っています。しょうが(生姜)は身体を暖めるのに良く使われる食材です。中華料理(日本風中華料理かもしれませんが)で、「叩き潰した生姜とねぎをまずいためてーーー。」というのは定番ですよね。
チャングムの誓いで印象的なのは、すべての食材について、その働きを考えた上で料理していることです。この食材が、この薬が(特にサプリメントなど)、これこれという病気に良いと1対1で短絡的に考え勝ちな使い方に比べて、本来の意味での知恵があるように感じます。
このところ雨が多いためでしょうか、肌寒く感じます。スープの恋しい季節になったんですね。何のスープがお好きでしょうか?生姜いりのスープのレセピを探してみますね。
Dr.筑田 「呉茱萸湯はひえを伴う頭痛に結構良いんだよね。」
Dr.美夏 「にんにくも暖かくなって元気になるよね。にんにくって漢方に入っているの?」
Dr.筑田 「漢方でにんにくの入っている処方を僕は知らないなあ。中国の漢方薬植物図鑑でも見たことがない。どうしてかなあ?ずっと気にはなっていたんだ。馬先生に餃子をご馳走になったことがあるけれどやっぱりにんにくは入れてなかった。生姜とねぎ」
Dr.美夏 「美夏クリニックでは、施行していないけれどにんにく注射ってやっているクリニックがある。これは実はにんにくではなくて、各種ビタミン剤のカクテル。にんにくの元気を出すというイメージと、注射されたときの独特のにんにくのような臭いでそう言う俗称がついたそうよ。」
Dr.筑田 「にんにくはアフリカ原産という説がある。エジプトでは紀元前3000年にすでにたまねぎとともに、ピラミッド建設の時の労働者が食していた証拠があるそうだ。ほかには中央アジアのキルギス地方が原産であるという説もある。いずれにしても、漢方薬の体系ができたのがおよそ2000年前。すでに漢方の体系化が完成したあと、にんにくは中国に入ってきたのではないか。だから、にんにくをその後漢方治療として使うことはなかったのではないかな。」