筑田Dr.はインターネットのオークションがお好きです。何に興味を持っているのかと思っていたら、顕微鏡を探しているようです。たまたま患者さんのおいでにならない時に、診察室をのぞくとうれしそうな顔で筑田Dr.は顕微鏡を眺めています。その筑田Dr.から、記事が送られてきました。
医学を学び始めて以来、常に顕微鏡は傍らにあり、研究をしているときは勿論、日常の診療においても無くてはならない存在です。 肉眼では見ることの出来ないモノを、単にレンズによる光の屈折を応用して、次元の異なる世界を見せるのですから、本当に驚きです。
人間にとっては大変な発見だったと感心し、顕微鏡に益々愛着を感じます。 医学の歴史上での顕微鏡の影響は絶大です。感染症の原因が様々な微生物によるものであると証明され、この事で死亡率が激減し、また予防への道が開けました。
特に1870年から1900年代にかけてはRobert Kochが炭疽菌、結核菌そしてコレラ菌を発見し、その弟子北里柴三郎が破傷風やジフテリアの血清療法発表で活躍しています。
その頃の顕微鏡の利用価値は、今の電子顕微鏡に匹敵し、ノーベル医学賞とは切っても切れない関係でした。
美夏クリニックには新旧いくつかの顕微鏡があります。手に入れた顕微鏡のうち一番古いのはちょうど彼らが活躍した時期と同じ1895年頃のものです。顕微鏡の機能に必要な最小限を備えた、極めてシンプルな形です。
物の見方、考え方、その時限を変え、思考転換を促す魔法の覗き窓、と私にはこの小さな顕微鏡が映ります。