ダイエットについてNo.3 Dr.筑田
陽子さんの報告から続いてきた筑田先生のダイエットについての考え方 完結編です。それでは先生よろしくお願いいたします。
ダイエットをしている人で、汗をかいて減量したなどと聞きますが、これはあまり意味がありません。水代謝に異常がある人以外は水を飲みますと、その水は尿となって排泄されますので、また元に戻ります。いわゆるダイエットという言葉を使うときには、水分量が問題なのではなくて、脂肪の量が問題です。 脂肪は汗と共には出て行きません。脂肪はエネルギーとして燃やす必要があります。汗をかくほどの運動を続ければ減量できますが、それは運動でエネルギーを消費した結果です。
また水を飲んでも太ると話す人がいます。ジュースなどであれば、糖がエネルギーとして入っていますので、当然肥満の元になります。でもカロリーを含まない単なる水で太ることはありません。
余分な水は水代謝の異常がない限り排出されます。
ダイエットを計画するときは、摂取エネルギー量と消費エネルギー量のバランスを考えることが必須です。エネルギーバランスで太ったり痩せたりするだけのことです。みなさんご存知ですよね?
肥満で悩んでおいでの方のエネルギー量の側面からみると、多くの人は運動不足です。摂るエネルギーが消費量より多いのです。年齢が高くなるのとともに基礎代謝は低くなります。当然若いときと同じように食べていますと、同じ運動量を確保していたとしても、基礎代謝が低下した分だけ確実に肥満します。
漢方薬を肥満改善のために使うというコンセプトは何でしょうか?
漢方薬の防風通聖散は基礎代謝を上げエネルギー消費を高めてます。
消費エネルギーを高めて、エネルギーバランスが負になり、肥満改善の助けになります。その効果は痩せ薬として話題になったエフェドラに匹敵します。エフェドラは代謝を高めて痩せる効果がある欧米で話題になったことがあります。死亡を含む重症例が1000例以上報告され、FDAが警告をだしているそうです。突然死もあるようなので、非常に危険です。
防風通聖散は処方薬として長年使われています。代謝をあげる薬ですが、エフェドラや日本でも薬害のでた中国の痩せ薬(甲状腺機能を亢進させる薬)とは異なり大きな副作用は認めていません。便秘がちな方は便通改善も得られます。
防己黄耆湯は基礎代謝の改善と水代謝の調整で異常に溜まりがちな水分も除くことで浮腫みっぽい肥満を改善します。
両者の使い分けは、体質を見極め東洋医学での証に基づいて服用してもらうことになります。例外はあるにせよ、1-2ヶ月で3-4Kgの減量は困難ではありません。そしてこれは、体重が減少しただけではなく、身体のバランスが崩れていたのもまた、漢方薬を服用しバランスの取れた健康な状態を取り戻しつつあることを意味しています。
医師の処方が必要な薬です。きちんと内服に適した状態であることを確認することが何より重要です。ダイエットの目指すところは、あくまでも健康美を得ることであって、痩せて病的状態に陥らないようにと認識することが肝要です。
美容外科学会では「痩身」というシンポジウムのセッションがありました。シンポジストの発表内容は、脂肪吸引と脂肪溶解の話です。
でも「痩身」という言葉そのものは、痩せたからだを指し、プロポーションの整った体を目指そうとして努力する治療を指すわけではありません。
また、美容外科的な脂肪吸引や脂肪溶解は、全体的な体重減少を目指すものではありません。どちらかとするとプロポーションの整った形を作ろうとするものです。
その治療もまた、健康であることが大前提です。現在の状態を診断し、必要があれば、漢方や食事、運動療法などで体脂肪の現象を図り、その上で部分的な美しい身体を作ってゆくのが、「美と健康、それはオーケストラのハーモニー」が基礎の理念である美夏クリニックにおける肥満治療と部分痩せの目標となります。
次回は、最近メソセラピーを精力的になさっている筑田先生に、リポスタビルを使用しての、部分痩せ治療についてレポートしてもらいましょう。
posted at 2006/10/12 18:56 | kojitomika |
permalink/全文表示 |