アンドレ・ワッツさんのリストがとても気に入って、最近よく聴いています。1984-5年の録音でEMI classicsのディスクがお気に入り。こちら 「パガニーニによる大練習曲」「巡礼の年」「3つの演奏会用練習曲」などから曲が選ばれています。
今回の演奏会ではピアノにとても近い位置で聴いていたせいか、力強さとダイナミックな印象を受けました。
それがCDでは、繊細で詩情にあふれている。聴いている私の気持ちに、リストを弾いているワッツさんのリリシズムがぴったり来ます。
同じピアニストでも24年くらい前の演奏と今の演奏が異なるのは、当然でしょう。また演奏会に出かける醍醐味になるのですが、年代が同じでも日によって演奏は違います。 そして聴き手の状態(個人としても、聴衆としても)が違います。
私はワッツさんのリストが好きなんだ って思いました。現実的ではないのですが、またピアノが弾きたいなと思いました。(あと数年すれば弾く時間ができるかな??)
音楽の好みが少しずつ変化します。
先日の演奏会でシューベルトの「さすらい人」を聞きました。なんだかもっと端正な印象があって、誰の演奏をもっぱら聴いていたのだろうと思って探して見たら、スヴァトスラフ・リヒテルでした。
リヒテルは、バッハやヘンデルの演奏から20世紀の音楽まで、どれも大好きです。あの武骨な容貌からは想像しにくい情熱的な旋律が生まれます。とくにショパンのスケルツォは、何回も何回も飽きもせず聴きました。
それで、今回60台半ばのワッツの「さすらい人幻想曲」。ちょっと泥臭いようなロマンティシズムを感じました。それがリヒテルのとても美しく端正で何と言うかバランスがとれた演奏と比較したときに、この少し泥臭い感じって今の私は好きなんだって思いました。