昨日武蔵野市民文化会館でイタリア・スポレート歌劇場による「シンデレラ(ラ・チェネレントラ)」を拝見いたしました。
ロッシーニです。例の島田雅彦さんが三角定規で譜面は書かれているようだと言っておられました。コロコロ、コロコロ上がったり下がったり、華やかに楽しく聞くことができます。ロッシーニ節ですね。
ティスベとクロリンダというシンデレラの姉たちは、とてもコミカルな動きで、そうですねえ、いわば漫才かお笑いを見ているような雰囲気です。
ダンディーニという王子に化ける従者も、王子にわずかの時間なっている可笑しさとちょっと残念な雰囲気がよくにじみ出ています。
見ていて楽しかったのは、アリアはないのですが存在感があったアルレッキーノ、コロンビーナ(道化師 男と女)です。フェデリコ・フェリーニの「道」を思い出すーー。オペラの道化師もーー。
そしてシンデレラ。武蔵野では、フェデリーカ・カルネヴァーレさんです。メゾソプラノなのですが、灰かぶり役もお姫様スタイルもよく似あい、美人さんで声量もあって、とても良い声でした。なにか説得力があるんです、この人のシンデレラは。最初から最後まで出ずっぱりで歌いっぱなし。素敵でしたよ。
そしてプリンス。いつも思うのですが、映画やオペラ、ひょっとしたら小説でも「プリンス」ってそんなに面白くないですね。演じてくれたコルテスさんは、気品があって王子様ぴったりでした。
ロッシーニは、ただ楽しめばよいオペラです。深刻なストーリーも感情を揺すぶられるような音楽もない。楽しくて華やかで明るくて、ほっとするようなオペラです。