芸術の秋 コンサートが目白押しです。
思わず買ってしまった武蔵野事業団のチケットがたーくさんあります。
筑田Dr.はこの春チケットを購入すると(冠疾患の痛手で)、このコンサートが見られるまで、生きていられるかなあ など弱気な発言をしていました。でもね、何とか一緒に楽しむことができました。
ウイーンの森バーデン市立劇場によるリゴレットです。 ヴェルディはわたくしの大好きな作曲家です。
以前にご紹介した島田雅彦さんもヴェルディ好きです。ヴェルディって何て言うのか、救いようがない運命を説得力を持って表現するのにこれ以上の作曲家はないかもしれません。
リゴレットはせむしの道化師。生きてゆくために道化師をしていますが、この道化としての口が禍し、宮廷に敵を作ってしまいます。生き甲斐の娘ジルダを自分自身がつかえているマントヴァ公爵に奪われ、その仇打ちをしようとして、返ってジルダを失ってしまいます。
他のヴェルディの作品と同じように、じゃあリゴレットはどうしたら幸福になれたのかと考えると、少なくともオペラからうかがえる範囲では、不幸な結末は避けられそうにない。リゴレットは不幸な人生を送るように定められていた。その不合理で理不尽な不幸を、オペラを通じて人につきつけることで、ヴェルディは人に自分自身の置かれた立場を考えるチャンスを与えたというのが、島田雅彦さんの主張だと思います。
今回の公演は、何と一番前の席でした。ジルダとリゴレットの幸福な歌は左の木管が響き、呪いや不吉な場面では右の金管が響く、最初のうちは少々切れ味が悪い音かなあと感じたのですが、だんだんオペラに引き込まれ音に酔っていました。
リゴレットはティヒー。良く響くバリトンでリゴレットの悲しみを深く表現されていました。とてもドラマティックで、素晴らしい演技と歌だったと思います。
マントヴァ公爵は、ヴァレリー・ゼルキン。能天気な役といえばそうなのですが、これまたくるくる変化するプレイボーイの純情??が伝わってくるようでした。
ジルダはユリア・コーチ。初恋の歓びと父へ愛情を伸びやかに表現していて、わたくしもこんな時期があったっけ なんて思っていました。