武蔵野市民文化会館でキエフオペラ ウクライナ国立歌劇場オペラ カルメンを拝見いたしました。
カルメンは、ビゼー作曲メリメ原作によるオペラです。とても親しみのあるメロディが一杯。オペラにのめり込む最初の一歩が、このカルメンだと言う人は多いのではないかしら。
舞台は、色彩の統一が取れていて比較的簡素でオーソドックスで、美しい。オペラは、動く絵画のような側面があります。いつもとても楽しみです。思いこみかもしれませんが、レニングラードとかキエフとか、旧ソ連の色彩は透明感があるように感じます。
カルメンはラリッサ・アンドレーエワさん ちょっとアグネス・ヴァルツァを思い出させる風貌と歌です。タイトルロールのカルメンはとても配役が難しいと思います。純情なホセを狂わせ、自分も破滅させてしまうファムファタール(魔性の女)。
随分歌い手によって見えてくるお話が変わって来ます。舞台によって、このカルメンほど登場人物像が違って見えるものは無いと思います。ラリッサさんは、品が良くてファムファタールには見えなかったかもしれません。
ミカエラはリュドミラ・モナスティルカさん。声量と迫力のあるソプラノで、他の歌い手を圧倒していたように思いました。声や雰囲気では、ミカエラよりもトゥーランドットのほうがぴったりだろうと推察致しました。見事なアリアで、又聞きたいな。
ホセは、エドゥアルド・マルティニュクさん。少々声がこもりがち。最後にホセが激情のあまりにカルメンを殺してしまう場面は、とても説得力がありました。
指揮が、アッラ・クルババさん。2幕までテンポがきちんと刻まれており、返って堅苦しいように思ったのですが、3幕4幕になって、ドラマティックな盛り上がり方でコントラストを意識して振っておられたと感じました。女性指揮者。
総じて女性上位のオペラで、何となく嬉しくなって帰宅いたしました。衛兵の交代(子供たちの合唱)や4幕の闘牛士たちが登場する場面などで省略があり、特にディテールにこだわりたい私はちょっと残念でした。
キエフオペラは、日本各地を11月末まで巡業なさるようです。私は11月5日のボリスゴドノフも見に行く予定。手堅い舞台で、座席も余裕がありましたし、オペラとしては高額ではありません。オペラに興味はあるけれど、あまり観たことがないとおっしゃる方にお勧めです。 こちら
今回は2階席の後ろの方中央で拝見していました。オーケストラピットがよく見え、音も全体が良く把握できます。オペラはどうしてもストーリーと歌に意識が向き、オケの音を楽しむ余裕がなくなりがちです。今回後ろの方の座席の魅力がよく分かりました。天井桟敷の人々は、きっとS席の人たちより余程シビアに観ていたのだろうって実感しました。