60歳記念プロジェクトです。サントリーホールで10月27日に開催されたロシア歌曲集とショスタコーヴィチのチェロソナタを聴きに行ってきました。
鴨川に住んでいたときに君津のホールで開催されたコンサートからもう10年ほど経ちます。マイスキーさんの髪がずいぶん白くなっていて、びっくりしました。音もなんて言うのかしら、内省的になって渋くなっているように感じました。華やかさが抑えられたという印象でしょうか?
この写真は今回のコンサートのプログラムのprofileからのものです。
日頃楽しく診療させていただいていますけれど、積もる疲労があったのか、前半のロシア歌曲では涙が止まらず本当に困りました。
元々美夏Dr.はどちらかというと端正な感情を抑えた演奏が好きです。それなのに最近ではこのマイスキーのようにリリックな演奏に心がひかれます。もちろんマイスキーの演奏も日々変化しています。特に生のコンサートでは、一期一会の出会いを感じることが多くあります。
今回はまだ11月6日まで演奏会が続きます。1日の東京オペラシティのチケットが昨日入手できましたので、バッハのチェロ組曲を聴きに行こうと思っています。もしお好きな方がおいででしたら、お勧めですよ。
そうですね、シュタルケルやカザルスの演奏とはとーっても違うと思います。少なくとも以前に録音されていたものは違いました。それがマイスキーの演奏の魅力だと思います。
またいずれご紹介するつもりですが、半月ほど前にポランスキーの「戦場のピアニスト」という映画を拝見致しました。
ユダヤ人であり、ポーランド人であるピアニスト シュピルマンが、ホロコーストを生き延び、戦直後「ある都市の死」として書いた本の映画です。
マイスキーはアンコールの中で、他の方のブログ検索をしていたらバルトークのルーマニア民族舞曲だったのかなと思われるポルカを弾いてくれました。このポルカが、哀愁があって美夏Dr.が感じるところの東欧の響きでした。マイスキーやその家族にとって、一番身近な音色。ひょっとしたら遺伝子そのものに刷り込まれている音色に感じました。(もちろん美夏Dr.の早とちりかもしれません)
それなら美夏Dr.にとって、一番近しい音色は何なのか?
これが残念ながら日本の歌曲ではないように思います。多分バッハ、モーツァルトから始まるロマン派の音色。小さい時からピアノを習ったり、聞き続けたりした西洋音楽。ヨーロッパの音楽なんですね。
ずいぶん不思議な気がします。異国の路上でたまたまヴァイオリンの音色が聞こえると、とても不思議ですが、懐かしく感じ、そして異国での緊張がほぐれて来ます。
自分自身の感情や知識、思想の流れがいったいどこからやってきているのか、それはそれで興味深く思います。