武蔵野市民文化会館で、「フレッシュ名曲コンサート」という催しがあり、拝聴してまいりました。
東京フィルハーモニーと、指揮者ファーガス・マクラウドとピアニスト 山本貴志の演奏です。 フレッシュというのが何なのかと思ったら、新人若手の音楽家を発掘、育成することを目標に東京歴史文化財団が共催したものだそうです。
それで、本日のプログラムです。
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲、ショパン:ピアノ協奏曲1番、ティベット典礼舞曲、ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」1919年版
ショパンのピアノ協奏曲1番って、マウリッツィオ・ポリーニが18歳でショパンコンクールに優勝した直後の録音があります。手元のレコードによれば1960年。このポリーニの若々しい演奏が耳に焼き付いている音楽愛好家は多いと思います。ジャケットのポリーニもとても若い。
そして思い違いでなければ1982-3年ごろ、まだわたくしが学生で長野市で、マルタ・アルゲリッチが小沢征爾の指揮で演奏したのも、このショパンの1番でした。アルゲリッチのたくましい前腕から奏でられたショパンは、ポリーニの演奏とはまた異なった美しさでそのダイナミックな演奏が、やはり強い印象をうけました。(ちなみにこの日のもう一つの演目は、ショスタコービッチの5番)
それでこの山本貴志さん、1983年の長野県生まれで、演目はショパンのピアノコンチェルト1番ですって。(この方が生まれたとき、私は医学部の5年生です。)2005年にショパンコンクールで4位をお取りです。少々うるさ型の聞き手を相手にするには、リスキーな曲目かな??って感じますーーよね。
それで、拝聴した結果です。まず楽しかった。ショパンもモーツァルトも私共日本人にとっては、ある意味異邦人の音楽です。少なくとも遺伝子上に乗っかった音楽ではない。それで数十年前までは日本人演奏家による西洋音楽って、少々無理がある。言い換えると鈍くさい印象があった。
でも この山本貴志さん、鈍くさくない。とても上手でしたし、若々しさが素直に表現され、そして彼の内なる感情がピアノを通して率直に表現されている。 くせのない伸びやかな演奏で、とても楽しく若々しい演奏でした。強いていえば、とても繊細に表現したいときに、お背中と頸が縮んで見た目が小さくなってしまう印象を与えるのが気になりましたが、でも音は縮んでいない。視覚的な要素と現実の音が少々離れていた。
ひょっとすると、わたくしの子供であってもおかしくない世代のピアニストで、ずっと応援していきたいなと思いました