7月17日武蔵野市民会館小ホールで、クレール・マリー・ルゲ(ピアノ)とティエリー・エスケシュ(パイプオルガン)のデュオリサイタルを聞きました。
チケットを買ったときには、オルガンとピアノってどちらも鍵盤楽器。この二つの組み合わせって一体どんな音楽になるのだろうと思いました。
それが聴いて見ると、ピアノは鍵盤楽器のピアノそのものなのですが、オルガンは何十何百の金管楽器。こんなに相性の良い組み合わせはないように思えてきます。
エスケシュとルゲはパリ音楽院で活躍している旬の音楽家。左の写真のように 美人ピアニストでリストの演奏が甘さが抑えられていて、とても素敵。
「フランス音楽」という言葉があるのかどうか、私は知りません。今回のプログラムは、ラングレ、ヴィドール、リスト、サン=サーンスなどとエスケシュ本人の作曲+バッハでした。
どの音楽もドビュッシーやラベルと同じく音と音がつながり、絵画をみるような世界。音が紡ぎだされてくるのを聴いていると、ああこれがフランス音楽なのだろうと思います。光がさざめき風がそよぐ。下の写真のエスケシュは今回のプログラムにもありましたが、作曲家としてもすごい。
パイプオルガンは教会音楽という印象があるかもしれませんが、音色は現代的でとても華やかです。現代的に感じるのはシンセサイザーを思い起こすからかもしれません。
オルガニストは2本の手と二本の足をフルに使って、しかもストッパーという右にならんだボタンで一つの鍵盤から作られる音を選びながら演奏します。
エスケシュは鍵盤の上にある短めのパイプの前の扉まで開いたり閉じたり。種類の違う音を自由自在に繰ります。不思議な多重奏の世界を一人で作ってしまう。 視覚的にもダンスを見ている(もちろん演奏はパーフォーマンス)ように楽しい。
オルガンのソロでエスケシュは即興で「夏の思い出」 尾瀬を歌った歌を変奏して聞かせてくれました。この即興でエスケシュがどのように作曲するのか、一端を知った気がします。(私は残念ながらというか才能なく、勿論作曲はしないので、少し垣間見た位のものですけれど)。
コンサートは10回聴きにいって、楽しくて楽しくて仕方がないのはたぶん1-2回だと思います。今回のコンサートはそういう私にとって素晴らしいコンサートでした。