海外旅行前には予防接種をしましょう
Dr.筑田がブログの原稿を本日も送ってくれました。どうぞお願いいたします。
欧米の方々に比較すると、日本人は予防接種に対しての認識はまだまだ低いようです。それでも、最近では海外旅行前に予防接種を行う方は増えてきています。
なぜ日本人で予防接種を受ける方が欧米の人に比べて少ないのでしょうか?
もともと日本人は農耕民族で、温暖で安全な社会の中で暮らして来ました。狩猟民族のように常に外敵と争い、新しい環境に自分をおくことがなかった。そのために外部の危険について常に警戒し、自分を守るという習慣がありません。
11月のMedical Tribuneという医師向けの雑誌で、海老沢功先生がネパールで外国人観光客の医療活動をしているバスニヤット博士の論文を紹介しておりました。それによると、日本人は破傷風とA型肝炎の予防接種をして来るべきだとの強い調子の警告文を博士は書かれています。
ネパールでは道路もすべて舗装されているわけではありません。そのネパールで捻挫、外傷を受けることはしばしばおこります。傷ができると、その際に致死的合併症として破傷風による感染が最も心配されます。 破傷風菌は土の中の常在菌で身の回りの土を集めますとその50%で菌が分離されるほど身近に存在し、感染の危険が高い菌です。 しかも、破傷風菌毒素は1gで600万人を死に至らしめる毒性があります。青酸カリであれば1.2―1.8トンの毒性に匹敵するとされています。
また、A型肝炎についても述べられています。ネパールの飲食店の食事や飲料水は必ずしも衛生的ではありません。そのため下痢は良く見られます。下痢の患者さんでは時にA型肝炎感染の場合があります。体調によっては劇症肝炎となる場合もあり、重篤な疾患です。
A型肝炎は肝炎ウイルスの経口感染ですが、A型肝炎に対しての抗体を持っていると感染しません。衛生環境が整備された日本では40歳以下の人での抗体保有率はほとんど0で、しかも予防接種を受ける人は少ない。旅行目的地によってはA型肝炎の予防接種は是非心がけていただきたいものです。
欧米からの観光客の95%はこの2者に対しての予防接種はしていたが、日本人は逆に95%が予防接種をしていなかったとのことです。
破傷風ワクチン、A型肝炎ワクチンは旅行前に2回ずつ(1ヶ月くらい間をおいて)接種しておくことをお勧めいたします。
こちらも見てね。http://www.mika-clinic.com/kamoku/naika13.html
ほかには旅行前にお勧めの予防接種はないの?
野生動物に接する機会がありそうな人だと狂犬病
アフリカだと黄熱病
アジアやアフリカ地域であれば日本脳炎やコレラ、ポリオなど
国営昭和記念公園の鴨を見ながら、こういった鳥が鳥インフルエンザを運んでくるんだよねと無気味なセリフを吐く筑田先生のレポートでした。
posted at 2006/11/14 20:39 | kojitomika |