私たちの体には自然治癒能力があります。 感染症では、細菌やウイルスなどの病原体が体内に入り込むと免疫機構がはたらいて、その病原体を駆逐し、傷んだ部分を修復し、元の元気な身体に戻してゆきます。反対に敵(病原体など)の勢力があまりにも強力なときには、防衛能力も及ばず身体は降伏し、死んでしまいます。
免疫はいわば生き物の身体を守る軍隊です。
免疫機構を高める方法ーーそれがワクチン(予防接種)
ワクチンの接種はいわば予行演習。少量で場合によって活性を抑えた病原体を身体の中に注射で入れるのがワクチン。身体(免疫)が勝つように設計されています。
敵の性質を一度ワクチンで学ぶと、免疫という軍隊はその病原体に対して戦う効果的な戦術を身につけます。武器の数(抗体など)も増えます。そして再度その病原体の進入があったとき(本番ですね)には、速やかに防衛体制をとり強力に病原体を排除します。
この仕組みは免疫と呼ばれ、コンピューターシステムのように極めて精巧にプログラム形成されています。 この仕組みを最初に応用したのが1879年にジェンナーが行った種痘です。(天然痘に対して)
医学の進歩により、感染症の原因として多様な細菌やウイルスの発見が発見され、治療薬として、ペニシリン等の抗生物質が発見され、細菌感染症の多くはある程度制御できるようになりました。しかし、ウイルスに関しては、まだ完全に制御できる段階には至っていません。
抗ウイルス薬がまだ限られている上、ウイルスは突然変異によって形を変え、薬にたいする耐性を持ちやすい(効いていたはずの薬が効かなくなる)からです。そのためウイルスによる疾患や強力な毒素を持った細菌による疾患では、ワクチン接種が大きな効力を発揮します。
2007年11月号の米国の医学雑誌JAMAに、これらワクチン療法の効果が検証発表されていました。次回説明します。
Dr.美夏より
いくら予行演習をしたって、徹夜で一夜漬けしたって、負けることがあるというのが、secondary vaccine failure
予防接種をしたのに、予行演習をしなかったってのが primary vaccine failureってことよね??