ドロドロ血液とさらさら血液 筑田Dr.
患者さんから「ドロドロ血液」について聞かれることがあります。
多くの患者さんはその意味をよく理解していないようで、誤解しないように説明してみようと思います。
よくテレビで見られるドロドロ血液といわれているのは7ミクロンほどの細い管が配列された装置を赤血球(6-9ミクロン)がスムーズ通過できるかどうかを見ています。
視覚的には血管内で同じことが起きているように錯覚が起こりやすく、一般の方にはショッキングな映像です。 これはあくまでも人工的な測定機内の出来事ですので、血管の中も同じようなことが起きているとは考える必要はありません。
自分自身の健康状態をはんだんする上で重要なのは、「どろどろ」「さらさら」という感覚的な言葉ではありません。
血液と血管と、血液の流れ方に分けて考えると理解しやすいと思います。
血液成分は血球成分と血漿という液体成分に分けられます。血球には赤血球、白血球、血小板があります。それらの数が増したり、性状の変化(特殊な貧血や白血病)が起こったりすると、血液は粘調になり、血栓が作られやすくなります。
血漿成分には、電解質、グルコース、種々の血漿タンパクがあります。脱水による浸透圧の増加、糖尿病、異常蛋白増加などでは高率に血栓が出来ます。
次に血管の話をします。 動脈硬化で血管内膜が傷つくと、血液の流れが悪くなり血栓が作られやすくなります。事故があると渋滞するようなものです。 血栓が心臓を栄養している血管で起きますと心筋梗塞になりますし、脳で起きますと脳梗塞となります。
眼底動脈を見ると、血管の状態を直接診断することが出来ます。頚動脈エコーという検査でも、痛みなく血管の状態と流れ具合を測ることが出来ます。
東洋医学的診察では舌の性状で血液の流れを把握します。舌の色が暗く、舌下静脈が黒く怒張している状態は血液の滞りを示し、瘀血として治療の対象になります。 瘀血の状態は生活習慣病を含め、肩こり、腰痛、痔、冷え性、月経困難症、静脈炎や血栓症と密接に関係しています。
心臓のリズムの不調で、心房細動という病気があります。これは心房という場所で、血液が停滞したために固まってしまい、その塊つまり血栓が脳に飛ぶと脳梗塞をおこします。この病態は、血液の性状や血管の状態ではなくて、血液が滞る危険性を示す良い例です。
ドロドロ、サラサラを直ちに短絡的に病気または治療に結びつけサプリメントを服用して全て解決と誤解することなく、医療機関で正しい診断をしてもらうことが大切です。
posted at 2006/09/15 20:12 | kojitomika |
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