メタボリックシンドロームが死の四重奏であると話題になって久しく、今ではその意味を知らない人はいないほどです。
統計上ではメタボリックシンドロームの基準に当てはまる人はそうでない人に比べ、心疾患で死亡する人は高率です。 この統計結果は、メタボリックシンドロームが健康上いかに恐ろしい状態か皆さんに示す事になりました。
診断基準では欧米諸国と日本で腹囲の設定値で違いがあり、また体格などを無視しているなど問題点はありますが、心疾患はいくつかの要因が重なって起こる事を明確に示した点では評価されるものです。
しかし基準のため、逆に一般の人には誤解も生じやすい事も確かです。
すなわち、この基準に当てはまらないと健康上心配は要らないと感じさせやすいことです。 人の体の状態は数値だけでわかるわけではないのです。
私自身、血圧は正常、BMI正常範囲、血糖正常、ステロールは正常範囲内(LDLはやや高めでしたが)でしたが、心疾患を体験しました。 考えられる要因は座っての仕事が多く、運動不足と、ストレス解消不足?
医師としては大変よい勉強させてもらいました。 胸痛中であっても、血液、生化学検査、心電図には全く異常が出ませんでした。 カテーテル検査で診断がつき、無事治療が出来ました。 とかく、西洋医学では検査データを中心に診断しがちですが、今回改めて身体が内から訴えている事をより重要視しなければと思い知らされました。 医師は自身の死の体験は避け、それ以外の病気を出来るだけ多く体験したほうが良いのです。
心カテーテル検査ステント挿入のために入院し、その後11月からは診療日を週三回に少なく致しました。患者の皆様には大変ご不便をおかけし、申し訳なく思っております。
三途の河を渡りきることなく戻ってきたからには、この体験を生かし、今以上の内容の充実した医療を目指していきたいと思っております。
今年の診療は昨日で終わりましたが、患者の皆様には本当に有難うございました。 2008年もどうぞよろしくお願申し上げます。