老化現象を見るとき、細胞レベルと臓器単位、あるいは個として考える必要があります。
細胞レベルでは子供ですら老化が起こっているわけですが、それを補い余りあるほどの再生のため、全体として成長が起こり、現実的には問題になりません。
ところが、二十歳も過ぎますと、脳細胞で代表されるように、あちこちの臓器で機能の低下が始まります。 今までの医学では、このような退行変性は、歳だからしょうがない、あるいは当たり前として治療の対象とされてきませんでした。
ところが、医学研究が進み、病気が細胞レベル、DNAレベルで解明されて、老化のメカニズムも次第に明らかになってきました。このことが、治療の考え方にも影響し、抗加齢治療が行われるようになったわけです。
では、古臭いイメージのある鍼治療は、抗加齢治療として、どのような効果があるのでしょうか。 今までは、治療効果があれば詳しいメカニズムはどうでも良く、結果よければ全て良しで、数千年絶えることなく引き継がれてきた治療法です。
疼痛に対しての治療効果については、神経回路の干渉作用、エンドルフィンとの関係が報告されていますが、美容皮膚領域では、鍼灸による局所循環改善、鍼刺激による細胞性成長因子群の関与が考えられ、局所的に組織再生を促しているように理解されます。 脱毛の抑制と発毛作用、皮膚の新陳代謝活性化による、美白効果と色素斑の改善は再生医療とも考えられます。
個全体としては、精神を安定させ、外的ストレスに強くなりますが、この事はまた免疫能の増強に関係していて、局所的にも好影響を与えます。
美容鍼灸を続けている患者さんは、美容手術を受けたのかと聞かれるほど顔はシャープになり、皮膚のクスミが消え、明るく潤いを認めているとお話なさいますが、術者にも効果は認められ、満足度の高い治療といえます。