9月17日に霧が峰に行って見ました。
高原の楽しみは、風の匂いで季節を感じ、草木を見つけたり、湿原の位置を推測したりーーー五感を開放し自然の中に溶け込む事です。
同じ場所でも季節ごとに咲いている花も変わり、飽きる事はありません。 草花を見て自然の造形美にいつも感心します。それでも、ついその薬効は何かと考えてしまいます。
今回八島湿原で特に目に付いたものに山トリカブトとマムシ草があります。
トリカブトは烏帽子のような形をした青紫色の花ですぐ目に付きます。名前が示すように特徴的な形で、一度見たら忘れる事はありません。
トリカブトは、かつてアイヌの人々は熊狩りにその毒を利用したほどで、花、葉、根に猛毒を有し、間違ってもそのまま口に入れないように注意が必要です。 春先に山菜とりの際、おいしいモミジガサやニ輪草と若草はよく似ているため間違ってこのトリカブトを食べ、死亡した例もあります。
しかし、トリカブトの毒は扱いようでとても重要な薬となり、漢方薬ではなくてはならない存在です。 薬として用いる時には、トリカブトの根(附子)を蒸して乾燥し毒を弱める必要があります。 附子の薬効は血液をめぐらせ体を温め、痛みを取り去ります。 真武湯、麻黄附子細辛湯などにこのトリカブトが入っていて、寒気を感じ、節々に痛みを覚える体力の低下した人によく処方されます。
西洋薬では手に負えないこじれた風邪などに劇的に効く事があります。