いぼの治療(なすのヘタ療法)
皮膚科診療で頭を悩ます(治療効果があいまいな)疾患に、いぼがあります。尋常性疣贅というヒトパピローマウイルスによるいぼはありふれています。頭を悩ます一番の理由は、治療成績が安定しないことにあります。
ヒトパピローマウイルスは皮膚ではあまり重い病気は引き起こしません。でも、人に住み着いて見た目ではいぼがなくなっても、秘めやかに潜伏し、何かのきっかけで再発することが多い。いぼは、病気と宿主(人の身体)との関係を考える上で、非常に役に立つ疾患だとおもいます。
結局は、ウイルスと人の身体の防御機構である免疫が綱引きをして、その力関係でそのときの状態が決まります。
液体窒素による凍結療法やレーザー照射、ヨクイニン(ハトムギの漢方薬)などの治療がスタンダードです。江川清文先生という方が、「疣贅治療考」(医歯薬出版株式会社)という256ページに及ぶ本を書いておられますが、その目次は2ページ半治療方法が並んでいます。つまりスタンダードではない治療が一杯ある。言い換えると決め手となる治療がないということになりますね。
小さいお子さんには痛い治療は不向きです。なすのヘタをいぼの大きさに切って毎日貼っておくという治療があります。なすのヘタにかぶれさせ、白血球にウイルスを食ってもらうという、風が吹けば桶屋が儲かるみたいな話なのですが、立派な治療方法です。小さいお子さんほど、結果がよい。(小さいお子さんほど、免疫能力が高い。)たまたまご紹介した患者さんからメールを頂戴し、了解を得たので転載します。
1-2月かかることのほうが多いと思いますし、この方もまだ残っているようですが、ナスでかぶれてきたときにもう一押しするのがコツだと思っています。
美夏先生、こんにちは。
先日、娘の足のいぼを診ていただいた○○です。
あのあと、さっそくららマートでナスを買って帰り、お風呂上りにヘタを薄くスライスして貼り付けてみました。
すると、翌朝に少し色が黒くなったように見えましてた。
だんだんいぼが縮んで浮き上がり、はじめて3日後くらいにはいぼの周りの盛り上がった部分も平らになってきました。
4日目の夜、お風呂上りにナスをつけていると、いぼが半分取れかかっていて、5日目の朝おきて来た時にはもう取れてしまっていました(@@
足の裏のいぼはまだちょっと芯が残っているので、ナスを続けていますが、指のほうは抉り取ったようにきれいに取れて、1週間たった今日、もう皮膚も平らになっています。
朝、夕2回のナスでしっかり治りました。
どうもありがとうございました!
posted at 2007/01/19 17:19 | kojitomika |
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