■へこみを膨らますことで目立たなくしたり、持ち上げて美しい形を作る治療です
●ヒアルロン酸
ヒアルロン酸は皮膚のすぐ下の真皮や皮下、骨の上などに注射し、皮膚を持ち上げる薬です。具体的には、しわを目立たなくする、唇をふっくらさせる、口の周りの溝を浅くする、下顎を強調する、鼻を高くするなどの使い方をします。ボトックスと併用することで深く刻まれてしまったしわを浮かせることも可能です。
もともとヒアルロン酸は、皮膚、皮下組織、関節など生体に広く存在するムコ多糖類という物質で水を引き寄せボリュームを出す性質があります。膝の痛い方に注射するアルツという薬もヒアルロン酸です。
ヒアルロン酸は月日と共に少しずつ吸収されます。お顔のヒアルは分子同士をつなぎ合わせて、吸収されにくくなっています
お大体半年後に少し足し、次は一年後くらいが平均的なスケジュールだと思います。
沢山の製剤がある中で、美夏クリニックで用いているヒアルロン酸は、厚生労働省の認可があるジュビダーム(volux、voluma, volift、volbellaというアラガンのヒアルロン酸です。volumaは価格が高い製品ですが、吸収までの期間が2年ほどで長いこと、凝集性が高いので、いわゆる輪郭形成にはとても使いやすい。使い始めたら結果と持続が良いので、最近は良く使っています。voluxは顎の形を作るのに適しており、voliftは浅い層の注入に、volbellaは更に浅い層に注入します。
ヒアルロン酸は動物由来ではありませんので、狂牛病などウイルスやプリオンが混入する余地がなく、安全性が高い。またアレルギー反応を起こす確率が低いため、通常皮内テストの必要はありません。
ハイドロキシアパタイトのレディエッセは固めに仕上げるのに大好きな製剤でしたし、当院でのトラブルはありませんでした。でも塞栓予防についてはヒアルロン酸の方が安全性が高いため、現在では取り扱っておりません。fillerとよぶ膨らませる製剤は、ヒアルロン酸で日本の厚生労働省の認可があるものが良いと思います。
ヒアルロン酸はヒアルロニダーゼという注射剤で溶解させることができます。より安全性が高いですね。安全性を担保するのに必須なヒアルロニダーゼは、認可製品がなく、その時に入手可能な比較的使用期限の長いものを輸入しています。
ヒアルロン酸注入とは
治療の概略 注射で注入する治療で、膨らますための薬剤です。顔面のしわや溝に注入して皺を目立たなくします。瞼、口唇、および隆鼻術のような形態を変える治療は厚生労働省の適応外となっています。
薬剤について
注入用ヒアルロン酸の中で、厚生労働省の認可があるものは、アラガンのジュビダームシリーズとガルデルマのレスチレンシリーズです。
ヒアルロン酸は元々身体の中にある形のものを橋渡しして、分子を大きくして吸収されにくいよう作られています。同じ製薬会社のものであっても、さらさらとした柔らかいタイプ(イメージとしては触るとくずれるジェリーみたいなもの)から、固くて引き締まったもの(イメージ的には蒟蒻のよう)なものまで、数種類あります。注入する部位や層と必要な硬さで選択します。
薬剤は少しずつ吸収されます。アラガンのVYCrossシリーズは1.5-2年位、ガルデルマのレスチレンは1年位で吸収されるとされています。同じものであっても注入する場所と注入方法によって吸収される速度は違います。また長期間残存する時がありますので、日本の厚生労働省認可があるアラガンのジュビダームとガルデルマのレスチレンによる注入を行っています。 例外的に個人輸入で、瞼にはスイスMERZ社のベロテロソフトを注入しています。
治療の目的(効果や改善が見込まれる症状)
注入ヒアルロン酸の認可では「中等度から重度のしわや溝を修正する」ことが適応とされ、「口唇、眼瞼への使用、隆鼻術等は適応に含まれない」
治療のながれ
診察のあと、写真を撮影し、麻酔のクリームを塗り45分から1時間麻酔の効くまでお待ちいただきます。丁寧に注入を行い、その後お化粧して終了となります
治療回数
初回注入後2週間後にまず具合を確認します。その後半年後に必要があれば追加の注入をします。
その後は1年に1回少しずつ追加することが多いです
費用
1本88,000円(8,800円/0.1ml) 麻酔は範囲により1100円から2200円、カニューラ 2200円/本です レスチランとベロテロは66,000円/本 6,600円/0.1mlです。
お顔だちは人によりかなり異なり必要量も異なりますが、大まかな目安で改善が見込まれる量としては、目クマの部分では0.5本 ほうれい線 0.3-1本
30-40歳くらいの方でお顔全体では、0.5-1本前後
50-60歳くらいの方でお顔全体では 2本-3本
リスクと副作用
1,内出血、腫れ、アレルギー
2,感染
3,塞栓(ヒアルロン酸が動脈に入った場合):皮膚の壊死 鼻や眉間で塞栓を起こしたケースでは失明、脳梗塞の報告があります。
4,しこり
5,注入した部位から(筋肉の動きなどによって)移動する
6,結果にたいする不満足