長期の解熱鎮痛剤より鍼治療を

 筑田Dr.の予防接種のお話をアップしたと思ったら、フィリピンを旅行なさっている時に犬に噛まれて、狂犬病を発症した方のニュースがでていました。タイムリーでびっくり致しました。本日もまた筑田Dr.のレポートです。 慢性疼痛疾患の治療には鍼治療を 長期の消炎鎮痛剤服用による胃粘膜障害に注意が必要。  関節リュウマチ、変形性関節症、脊椎変形症や椎間板ヘルニアなどでは痛みがでます。痛みに対して、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs=non-steroidal anti-inflammatory drugs)と呼ばれる飲み薬が良く処方されます。  疼痛を緩和するお薬で「解熱鎮痛薬」 PAIN KILLERとも呼ばれます。  これら非ステロイド系抗炎症薬(解熱鎮痛剤)はトラブルの多い薬であることを是非知っておいていただきたいと思います。   1991年に日本リウマチ財団が関節リウマチの患者さんで調査した結果では、解熱鎮痛薬服用者の63%に内視鏡検査で胃粘膜障害。を認めました。このうち10%で潰瘍、52%で出血、ビランを認めています。解熱鎮痛薬では、胃や腸の粘膜障害はけっして頻度の低い副作用ではありません。でもその副作用は、高齢者では自覚症状が無かったり軽かったりすることがあります。  解熱鎮痛剤は高齢者のふえた今日では処方される機会が増えています。胃腸への障害では、胃潰瘍からの突然の出血で死亡する方も決してまれではありません。予防的には胃酸を止めるH2ブロッカーやプロトンポンプインヒビターで副作用も半減しますが、他の治療手段も考えてみる必要があります。(ここまで筑田Dr.)  また、解熱鎮痛剤は過敏症(不耐症ーー厳密な意味でのアレルギーではなくて、代謝障害)の頻度が高い薬です。 過敏症には、喘息型と蕁麻疹型があります。美夏クリニックは皮膚科の患者さんが多いので、どうしても蕁麻疹型の患者さんを良く拝見することになります。 脱線しますが、非ステロイド系消炎鎮痛薬の外用薬(塗ったり貼ったりする薬)でもまた、アレルギー性の接触性皮膚炎といってかぶれることがままあります。光刺激性接触皮膚炎といって、日光に当たる部分にのみ起こる場合もありますが、光と無関係に起こる場合もあります。(ここまで文責美夏Dr.)  このように、美夏クリニックのDrs.は非ステロイド系消炎鎮痛剤NSAIDs(解熱鎮痛薬)については、比較的慎重に処方するべき薬であると考えています。 解熱鎮痛薬を長期間投与する必要が出てくるような慢性疼痛性疾患、つまり関節などの痛みでは、東洋医学的なアプローチを考えています。漢方薬、鍼治療は胃腸障害や過敏症についてはむしろ安全です。しかも最近のドイツからの報告では、痛みを緩和するには西洋薬での治療より鍼治療がむしろより効果的であったとされています。  欧米では鍼治療についてWHO, NHIでも正式に認められた安全で効果的な治療法と認識され、知識人の間で積極的に受け入れられています。 長期的治療では副作用の無い安全な治療法を第一に考えてみる必要があります (ここまでDr.筑田)  そういえば美夏Dr.は滅多に痛み止めって出さないよね?  消炎鎮痛剤で、上に書いた皮膚粘膜眼症候群の患者さんも拝見してるしねえ、TENという重症熱傷型の薬疹は直接は拝見していないけれど、あちこちの病院で聞いた。ましてや外用消炎鎮痛剤でかぶれているなんて、しょっちゅう見るでしょ?過敏症って相性の問題だから、あなたはならない、あなたは危ないなんて、患者さんの顔を見て判断できるわけないでしょ?過敏症が出たら申し訳ないと、いつも処方するときには怖くってね。  でも出す時もあるよね。 量の問題も結構あるのよ。長期投与、大量投与のほうが、当然トラブルは多い。術後2-3日なら大きな問題になる確率は小さいからね。痛いのを怖がる術後の患者さんは時々処方している。 いつも心配なのは、帯状疱疹の患者さん。帯状疱疹後神経痛を防ぐためには、とにかく痛くないようにしていた方が良いのだけれど、本心は解熱鎮痛薬出したくないし、痛いのが続いて帯状疱疹後神経痛が起こるのも申し訳ないしーーー。筑田先生は、急性期の帯状疱疹に鍼治療をするのは、あまり積極的ではないしね。  解熱鎮痛剤による胃潰瘍には、プロトンポンプインヒビターでないと効かないとか、無症候性(症状がでない)の潰瘍が多いとか、文献を見ると色々書かれていますねえ。美夏Dr.のようにあまり内服薬を使い慣れていないと、解熱鎮痛薬はやっぱり使いたくないな。 posted at 2006/11/17 13:51 | kojitomika | permalink/全文表示 |

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